大学職員の仕事内容

大学職員の仕事③「就職支援・キャリア支援の仕事」の紹介

大学職員の採用試験に合格するためには、仕事理解や業界研究を行う必要があります。そこで、現役大学職員である管理人が大学職員の「就職支援・キャリア支援の仕事」について解説します。

はじめに

大学職員の仕事の中でも、「就職支援・キャリア支援」は特に人気のある分野です。大学職員を目指す方の中にも、「就職支援・キャリア支援に携わりたい」という人は多いです。

新卒で大学職員を目指す人にとっては、キャリアセンターなどでお世話になることが大ことから身近な仕事と感じられます。また、転職(中途採用)で大学職員を目指す人の中には、人事部での経験や部下のマネジメント経験を活かして「就職支援・キャリア支援」を目指す人も多いです。

このように、就職支援・キャリア支援の分野を志望する人は多いため、業務内容の深い理解と業界研究を怠らないことが重要です。そうしないと、競争相手に差をつけられてしまうかもしれません。

就職支援・キャリア支援の主な仕事内容の紹介

就職支援・キャリア支援の仕事は、企業と学生とのパイプ役というようなイメージがあったり、学生が就職できるよう様々なサポートを行うという印象があると思います。

実際には、就職活動に向けた様々なイベントを実施したり、インターンシップの手続きをしたりするなど様々なものがありますので、ぜひどのような仕事があるかを理解していただければと思います。また、大学によっては専門のキャリアカウンセラーを配置しており、就職相談などについてはそのカウンセラーのみが対応し、一般の事務職員は対応していないケースもあります。

このため、就職・キャリア支援に関わりたい人は、履歴書やエントリーシート、その他の応募書類を作成する際には、できるだけ幅広い業務に触れるように記載することが無難です。

ここからは就職支援・キャリア支援の主な仕事を紹介します。

学生向けイベントの開催

学生向けに就職活動に必要な心構えや業界研究ができるイベントを実施したり、筆記試験対策、グループディスカッション対策、面接対策などの採用試験で合格するためのテクニックを紹介するイベントの企画・運営を行ったりします。

就職支援・キャリア支援のイベントは大学内でもかなり重要になってきており、どの大学でもイベント数がかなり増えているので、いつどんなイベントを行うかについて体系的に考える必要があります。

イベントを行うにあたっては、講師の手配をしたりイベントによってはすでに内定をとった4年生に協力してもらうこともあります。

講師を呼ぶ場合は人気の講師はなかなか予約ができなかったり、予算の制限があったりと、色々と調整が難しいこともあり、可能な範囲でイベントを企画し先生や上司を説得していく必要があります。

また、せっかくイベントを企画しても学生が来なければ意味がないので、大学職員の仕事としては各イベントの広報も重要な仕事の1つなっています。

最近は、コロナも落ち着き、売り手市場になってきている関係で就職率自体は上昇しています。

一方で、学生が本当に入りたい企業に合格しているかというとそれは実際にはわからないところなので、今後は就職の質に着目した支援が重要になってくると考えられます。

学生にとっては、ある意味では就職するために大学に来ていると考えている学生もいるので、就職支援・キャリア支援の仕事は大学にとっても学生にとっても非常に重要な仕事になります。

正課授業におけるキャリア教育の実施・調整

多くの大学では、学生がキャリアを考えるきっかけを作ったり、学生自身がキャリアデザインできるように正課の授業(単位あり)でキャリア教育を行っています。

授業になるため、基本的には先生方と相談をしながら進めることになりますが、どのようなプログラムとするか、実施にあたり職員側でどのようなサポートが必要かなど、実施にあたっての調整を進めることになります。

例えば、基本的な労働法の知識を身に付けさせるような内容にしたり、自己理解、業界研究、就職と大学教育との関連を伝えるなど、様々な内容が考えられます。

インターンシップ先の開拓

最近はインターンシップに参加する学生も増えてきています。インターンシップについては、参加できる企業を紹介しているサイトもたくさんありますが、大学独自で準備している場合もあります。

大学独自のインターンシップについては、大学の魅力の1つにもなりますので、インターンシップ先の開拓をするような仕事もあります。

インターンシップは、学生が大学生活の中で多様な学びを経験するという意味でも、就職のミスマッチをなくすという意味でも非常に大事な取組となります。

学生にとってはインターンシップを経験することで学生自身が成長することができますし、就職活動の際もアピールの材料にもなります。

ただし、インターンシップは企業側の負担が大きくなかなか受け入れ先がないという問題もあります。

大学としては、企業側に丁寧な説明を行いインターンシップにいく学生に対してはしっかりと事前指導を行って、少しでもインターンシップ先の確保に努めていく必要があります。

求人の整理・紹介

現在は基本的にはインターネット上で求人を確認するという形になってきていますが、企業から求人票が届くこともあり、
企業からきた求人票を整理して、学生が見やすいように掲示などをします。

情報が得やすくなった一方で、大事な情報が埋もれてしまう危険性もあるので、そのあたりをサポートするのは大学職員の仕事だと思っています。

大学のイベントに参加してくれる企業の開拓

多くの大学では学内での企業説明を実施しています。このような企業説明会に参加してくれる企業を増やし、学生の就職に結びつけていきます。

企業に参加していただくためには、自分の大学の学生の良さや教育内容などもアピールする必要があるので、大学のことを理解している必要もあります。

単に大学の宣伝をするだけであく、会社側の事情も配慮するなどして、会社側と信頼関係を築くことが大切です。

学生の進路(進学・就職・未定など)の把握

学生の進路を把握することも大学職員の仕事内容の1つです。

学生に対しては、進路が決まったら報告するように学生には伝えているのですが、すべての学生の進路先情報を得るのはかなり大変です。

ただ、進路については文科省の調査などでも答える必要があるので、最終的にはすべての学生に電話などを行い進路の把握を行います。

かなり地味な作業ですが、情報を把握していないと管理ができていない大学とみられてしまうので、根気よく対応していく必要があります。

就職・キャリア相談

相談に来た学生に対して、就職指導(就職の相談に乗り、必要な指導を行う)を行います。

就職活動で不安になる学生はたくさんいるので、就職活動中は就職するためのアドバイスだけでなく心のサポートも大事になります。

最近は、大学によっては専門のキャリアカウンセラーが対応するところも多いですが、その前の段階でサポートできることも多いと思います。

就職が決まったときの学生の喜びはこちらのうれしいので、なんとか支えてあげたいものです。

その他新たな就職・キャリア支援の企画・実行

就職・キャリア支援についても新たな企画を考え、実行していくことが求められています。

例えば、OB・OGとのつながりを作ったり、留学生への就職・キャリア支援、教務部門と連携したキャリア教育の実施、卒業後3年以内に退職した卒業生に対する就職・キャリア支援などが考えられます。

また、最近はコロナ禍における就職・キャリア支援として、オンラインによる就職・キャリア支援を実施できる仕組みを構築したり、卒業生がテレワーク等の新たな働き方に対応できる能力を身に付けられる講座の開設なども必要かもしれません。

このように就職・キャリア支援分野においても新たな対応が求められるようになってきています。

就職支援・キャリア支援の仕事まとめ

以上が就職支援の仕事内容です。採用面接の場では大学職員を目指した志望動機で、「自分の社会人経験を活かして学生の就職相談をしたい」という人がいますが、そもそも一般の職員は就職相談をやらないという大学もあります。

なかなか事前にそのあたりを確認することは難しいかもしれませんが、そのような大学であった場合はイベントの企画・運営にシフトする必要がでてきます。

また、近年注目されているインターンシップについては、大学職員の役割としては結構大変な仕事だと思っています。

まず、よくあるのが企業からのクレームです。これは、大学側で用意しているインターンシップについては、まずは、学生に対しては、インターンシップに行きたい企業を申し込んでもらいますが、だいたい人気企業に偏ってしまうので抽選や成績で決めることになります。

すると第一希望に決まらなった学生は、第2希望、第3希望、第4希望、第5希望とあまり希望をしていない企業にインターンシップに行くことになったりします。

第5希望とかになってしまうとそもそも学生が行きたい企業なかったりするので、インターンシップ先からは「学生がやる気がない」などというクレームがきたり、ひどい場合は「学生が出勤してこない」などというようなこともあります。

このような場合は当たり前ですがすぐに謝罪に伺うことになります。大学としてはできるだけ多くのインターンシップ先を確保しておきたいので、謝罪をしつつも、来年もよろしくという感じで何とか企業側に、次回も受け入れてもらえるよう説得したりしています。

インターンシップを受け入れる企業側の視点で考えると、一応学生に対して企業のPRになったり、社会貢献をしている企業というイメージを作れるというメリットもあるんですが、このメリットも企業にとってはそんなに大きくはなので、だいたいは企業側の善意でインターンシップが成り立っているというのが現状だったりします。

学生としては、就職活動の面接の際のアピールでインターンシップをやっときたいけど、行きたい企業がない(行きたい企業は人気がありすぎて受け入れてもらえない)。

そこで、しかたなく大学側が確保できた企業にインターンシップするとあまりおもしろくなくて、うまくいかないというケースがあり、なんとも難しい状況があります。

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