大学職員の採用試験に合格するためには大学の業界研究も重要になります。業界研究をしっかりと行うことでエントリーシート等の応募書類を作成しやすくなったり、小論文試験やグループディスカッション、面接試験でも自分なりの考えを提案できるようになります。そこでこの記事では「入試・広報」に関する各大学の特色ある取組を紹介します。

はじめに

18歳人口の減少や大学数の増加により大学間競争が激しくなっています。それに伴い、学生を確保するための入試・広報の仕事の重要性は増してきています。

また、入試・広報をしっかりと行うことで、「優秀な学生」を確保することができ、優秀な学生を確保することは、大学の質を維持していくためにも重要になります。

大学職員採用試験の場でも、小論文やグループディスカッションで「受験生を増やすためにはどのような取組が必要か」というようなテーマが提示されたり、面接試験でも「本学の受験生を増やすためにはどうすべきと思いますか」などと聞かれることもあります。

そこでこの記事では、大学職員への就職・転職を目指す方の業界研究・試験対策の参考になるように、大学の「入試・広報」に関する取組を紹介します。

入試・広報については、

①特色ある入試制度や入試改革
②特色あるオープンキャンパス
③高校生を対象としたイベント
④高等学校との連携
⑤高校教員や塾・予備校に向けた広報

の5つのカテゴリに分けて紹介します。

①特色ある入試制度や入試改革

「入試・広報」の「特色ある入試制度や入試改革」については、

・高校時代の学外体験で選抜する入試を実施(武蔵野大学)
・3大学で共同入試を実施(長崎ウエスレヤン大学・長崎外国語大学・長崎国際大学)
・「活用・応用する思考力」を測る「未来構想方式」入試の実施(産業能率大学)
・高大接続入試の導入(中央大学)
・「教員希望枠」の推薦入試を実施(宮崎大学)

の5つの事例を紹介いたします。

高校時代の学外体験で選抜する入試を実施(武蔵野大学)

武蔵野大学は、高校時代の学外体験で選抜する「武蔵野FS入試」を実施しています。

この入試は、武蔵野大学のディプロマ・ポリシー(学位授与方針)を踏まえ、受験生自身が高校時代の社会的・個人的に意義のある活動として自ら課題を見出し、その解決策を検討した経験を求めることで、実践力のある人材の発見を目的としています。

選抜方法は、「フィールドスタディーズ(長期学外学修)における体験をわかりやすく記録し報告する資料」、「フィールドスタディーズ(長期学外学修)から生まれた魅力的な製作物(成果物)」の事前提出資料(調査書を含む)と資料発表、個人面接の総合評価により判定することとなっています。

3大学で共同入試を実施(長崎ウエスレヤン大学・長崎外国語大学・長崎国際大学)

長崎ウエスレヤン大学、長崎外国語大学、長崎国際大学の3大学は、長崎地域における若年人材の定着促進と地域創生に資する人材育成を目的に、3校共同で「地域創生支援リーダー育成入試」を実施することとしました。

この入試制度は、長崎地域の高校生が地元の私立大学に入学し、国公立大学と同額の授業料で修学できるもので、在学中に様々なプログラムで地域情況を理解してもらい、地元に就職し地域のリーダーとして活躍する人材を育成する事業となっています。

「活用・応用する思考力」を測る「未来構想方式」入試の実施(産業能率大学)

産業能率大学では、知識そのものを測るのではなく、知識や経験を「活用・応用する思考力」を測る「未来構想方式」入試を新たに実施します。

この入試では、社会の問題に対し、自身の知識や経験を活かして課題を発見・解決する力を測る、新時代の大学入試としています。

実際の試験では、スマートフォンやタブレットの試験会場持ち込みが可能な試験形態を採用し、受験生自身の知識・経験に加え、インターネットで得られる多くの情報を選択・活用しながら、社会課題の解決策を考案することとしています。

高大接続入試の導入(中央大学)

中央大学経済学部は、受験生が取得している資格や高校時代の実績を評価したり、高校時代の活動経験をアピールしたりする高大接続入学試験を2020年から導入しました。

この高大接続入試には、資格・実績評価型と自己推薦型がそれぞれの対象者は次のとおりとされています。

◆資格・実績評価型(主な要件)
・基本情報技術者試験及び応用情報技術者試験の合格者
・国際バカロレア資格を取得もしくは取得見込みの者
・中央大学で2018~2019年度の「経済入門」を履修し、B以上の成績を修めた者

◆自己推薦型
・自身が関心や問題意識を持ったテーマについて社会や地域、NPO法人などと連動した活動に取り組んでいる者

「教員希望枠」の推薦入試を実施(宮崎大学

宮崎大学は、宮崎県の教育委員会と連携し、県内の小学校教員をめざす受験生を対象とした「教員希望枠」の推薦入試を実施することとしました。

この入試は、小学校教員の団塊世代の大量退職に伴って採用人数を増やしているにもかかわらず、採用試験の受験者数と倍率が低下していることなどを踏まえて実施するものです。

教員採用試験を受ける際には、宮崎県教育委員会が1次試験を免除することとなっており、入学から卒業までをパッケージにした全国初の取組となっています。

合わせてチェック

②特色あるオープンキャンパス

「入試・広報」の「特色あるオープンキャンパス」については、

・ナイトオープンキャンパスを開催(杏林大学)
・志望理由を深める学び中心のオープンキャンパスの開催(大正大学)
・オンライン大学説明会を実施(法政大学)

の3つの事例を紹介いたします。

ナイトオープンキャンパスを開催(杏林大学)

杏林大学の総合政策学部と外国語学部は、井の頭キャンパスにおいて、ナイトオープンキャンパスを開催しました。

当日のイベントは、学部紹介や入試説明、模擬講義、大手予備校講師による英語対策講座などをなっています。

また、キャンパスをライトアップする点灯式も実施しました。

志望理由を深める学び中心のオープンキャンパスの開催(大正大学)

大正大学では、2019年8月24日(土)及び25日(日)に、学問理解・自己理解を深めるワーク形式に変更したオープンキャンパスを実施することを発表しました。

これまでは、授業体験や学食体験などを中心にしていましたが、来場者の出願傾向はAO入試・推薦入試が多いことを踏まえて、実施内容を変更したとしています。

具体的には、模擬授業実施後に「振り返りワークショップ」を開催したり、AO入試に特化した面接対策や出願書類対策を実施することとしています。

オンライン大学説明会を実施(法政大学)

法政大学は、2019年7月20日に、地方在住の受験生や高校生を対象にした「法政大学オンライン大学説明会2019夏」をインターネットでライブ配信することを発表しました。

当日は、法政大学入学センター長をゲストに招き、「オープンキャンパスになかなか参加できない」、「首都圏の私大の情報が入手しにくい」という地方在住の大学受験生や高校生に、パンフレットやWebページだけでは伝わりにくい大学の魅力を伝える予定です。

録画した説明会映像ではなくライブ配信とすることで、参加者はその場で質問が可能となり、疑問や不安を解消できるようになっています。

合わせてチェック

③高校生を対象としたイベント

「入試・広報」の「高校生を対象としたイベント」については、

・高校生のための「学びツアー」の開催(関西福祉大学)
・大学に設置している英語村を一般公開(近畿大学)
・高校生を対象とした「イングリッシュキャンプ」の開催(立命館アジア太平洋大学)
・中高生や大学受験予定者に図書館を開放(東京女子大学)
・高大連携サイエンスキャンプを実施(京都大学)

の5つの事例を紹介いたします。

高校生のための「学びツアー」の開催(関西福祉大学)

関西福祉大学では、例年3月に高校生のための「学びツアー」を開催しています。

このイベントは、高校生が進路選択を支援するもので、体験イベントや職業人との交流を行うものです。

また、株式会社マイナビとも連携し、受験講座なども実施します。

大学に設置している英語村を一般公開(近畿大学)

近畿大学は、近畿大学に設置している英語村を、大学の夏休み期間である2019年9月5日(木)~11日(水)に高校生などに一般公開しました。

この取組は、地域貢献の一環として実施されるもので、英語の授業とは違うカジュアルな雰囲気で、外国人スタッフとのフリートークや日替わりのアクティビティを体験できるようになっています。

高校生を対象とした「イングリッシュキャンプ」の開催(立命館アジア太平洋大学)

立命館アジア太平洋大学は、グローカルリーダー教育をしているタクトピアと連携し、高校生を対象とした「イングリッシュキャンプ(Lingua Franca(リンガフランカ) English Camp in Tokyo)」を実施しました。

このイベントでは、国際学生と海外経験や知識や豊富なタクトピア講師が、ボーダーレスな世の中で、英語で学ぶことの意味と価値を教えます。

これにより、参加する高校生は、異文化理解に基づくコミュニケーション力、本物の英語表現、パブリックスピーキングのスキル等を身に付けることができます。

中高生や大学受験予定者に図書館を開放(東京女子大学)

東京女子大学は、2019年8月上旬から9月下旬までの期間で、受験や学習を目的とした女子中高生や大学受験を予定している女子を対象に図書館を開放しました。

期間中は、図書館内の蔵書を閲覧・利用できるだけでなく、個人用の机を利用して勉強することができます。

また、飲食可能なリフレッシュルームも利用することができるようになっています。

高大連携サイエンスキャンプを実施(京都大学)

京都大学森里海連環学教育研究ユニットは、2019年8月の2日間で、愛媛県西条市にて「西条高校×京都大学サイエンスキャンプ2019 実践的フィールドサイエンスを知る~ドローン最新技術の計画への応用と地域の未来を描く~」を開催しました。

このイベントは、高校生の学びの場を提供するだけでなく、研究者が地方へ足を運び、地方の良さを高校生と一緒に探るという姿勢をもっていることも特色の1つとなっています。

合わせてチェック

④高等学校との連携

「入試・広報」の「高等学校との連携」に関する特色ある取組については、

・大学の施設の利用や各種講座の参加に関する高大連携協定の締結(成城大学)
・医療分野で活躍できる人材を高校時代から育成(慶應義塾大学)
・高大連携教育改革シンポジウムの開催(金沢工業大学)

の3つの事例を紹介いたします。

大学の施設の利用や各種講座の参加に関する高大連携協定の締結(成城大学)

成城大学は、大学進学に関する高等学校生徒の意識と学習意欲を高めることや、成城大学の求める人材像の理解を深めることなどを目的に、麹町学園女子中学校高等学校と連携協定を締結しました。

主な協定の内容は次のとおりとなっています。

・大学共通の施設、センター等の利用
・大学が指定する各種講座、定例行事等への受け入れ
・大学教員による高等学校での出張講義及び各種行事への参加
・教育及び進路に関する情報交換

医療分野で活躍できる人材を高校時代から育成(慶應義塾大学)

慶應義塾大学では、日本では2035年に65際以上の高齢者が33.4%に達する超高齢化社会を迎えることを踏まえ、高校や各種学校に在籍する15歳から18歳までを対象に、医療分野で将来活躍する人材を高校時代から育成する「医学・医療の学際的修学、半学半教」の募集を実施しています。

募集機関は4月から8月までで、小論文と面接試験で1次選抜者40人を選び、さらに2次選抜者15人をその中から選考することとしています。

合格者は、2020年3月まで週末を中心に、講義や実習、グループワークを重ね、一部の選抜者は国際学会での発表や各種オリンピックへの参加を目指します。

高大連携教育改革シンポジウムの開催(金沢工業大学)

金沢工業大学は、京都市立京都工学院高等学校及び京都工学院高校と連携し、「高大連携教育改革シンポジウム」を2019年2月に開催しました。

金沢工業大学では、学生が自ら学び続ける力を育むために、学習者中心の教育こそ必要と考えており、特色ある学習者中心の教育の実現を学校全体で目指す2つの高校と議論を行うことで、よりよい教育現場を実現することを目指しています。

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⑤高校教員や塾・予備校に向けた広報

「入試・広報」の「高校教員や塾・予備校に向けた広報」に関する特色ある取組については、

・高校教員向け大学説明会の開催(武蔵野大学)
・学習塾・予備校を対象とした大学入試研究会を開催(東洋大学・大東文化大学・大正大学)
・学習塾・予備校と連携した「塾大連携」(大正大学)

の3つの事例を紹介いたします。

高校教員向け大学説明会の開催(武蔵野大学)

武蔵野大学では2019年6月に、高校教員向けの大学説明会を開催しました。

この説明会では、難関法科大学院に3年生の飛び級合格者を輩出した法学部の取組や、2020年度より全学部で必修とする新しい情報科目、2020年度入試について説明する予定としています。

学習塾・予備校を対象とした大学入試研究会を開催(東洋大学・大東文化大学・大正大学

東洋大学・大東文化大学・大正大学は、3大学合同で、学習塾や予備校関係者を対象とした大学入試研究会を開催しました。

このイベントは、「2020大学入試は、こう動く」をテーマとして、これまで公表されることのなかった入試の最新学内情報を積極的に提示することとしています。

また、各大学の入試情報だけでなく、大学入試の動向分析や毎年変化する大学入試を最前線の声なども伝えることとしています。

学習塾・予備校と連携した「塾大連携」(大正大学)

大正大学は、学習塾や予備校との活発なコミュニケーションを促し、「塾大連携」と呼ばれるイベントを実施しています。

これまでに、高等学校教員対象の入試報告会等は実施しておりましたが、2019年度は「塾」の関係者を対象としたイベントは初めての試みとなります。

イベントでは、塾や予備校の関係者に対して、2019年度入試結果や2020年度入試のポイント、大学入試改革方針の説明などを行っています。

このイベントは、学習塾や予備校は、同じ「教育」の分野で隣接していながら、連携が不十分であったことを踏まえ、双方の教育資源を相互に活用していくことも目的の1つとしています。

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各分野の特色ある取組を紹介している記事について

各分野の特色ある取組については、本ブログでも紹介していますが、会員限定の「大学職員への就職・転職対策サイト」ではより多くの取組を紹介し、紹介する内容も定期的に追加しています。

また、会員限定の「大学職員への就職・転職対策サイト」では、各分野の特色ある取組だけでなく、

・志望動機や志望理由の実例紹介
・エントリーシート作成例の紹介
・テーマ別小論文作成例の紹介
・テーマ別グループディスカッション対策
・大学職員の面接試験を受ける方が事前に作成した想定される質問と回答予定内容
・大学職員採用試験を実際に受験した方から情報提供いただいた面接試験で実際に出された質問
・大学職員採用試験を受ける前に知っておきたい66のデータ
・各種大学ランキングの掲載URLの紹介
・その他大学職員採用試験に活用できそうな情報(女子大学の存在意義、URAと事務職員の役割分担、応募する大学の課題や弱みを確認する方法等)

など、一般には公開しにくい情報を中心に掲載しています。

よろしければ会員限定の「大学職員への就職・転職対策サイト」もご活用ください。
⇒(会員限定)大学職員への就職転職サイト

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