大学職員の採用試験に合格するためには大学の業界研究も重要になります。業界研究をしっかりと行うことでエントリーシート等の応募書類を作成しやすくなったり、小論文試験やグループディスカッション、面接試験でも自分なりの考えを提案できるようになります。そこでこの記事では「生涯学習・リカレント教育」に関する各大学の特色ある取組を紹介します。

はじめに

「人生100年時代」と言われるようになったこともあり、シニア世代に対する「学び」を提供することが大学にも求められるようになってきています。

また、社会環境が厳しくなっていることから、社会人も常に学び続ける姿勢が必要になってきており、社会人の「学び」に対しても大学の知を還元することが求められています。

さらに大学自身も、18歳~20歳くらいの年齢だけをターゲットにするのではなく、海外の大学のように幅広い世代を大学のターゲットとすることで新たな収入源を確保し、大学経営を安定させることができる可能性もあります。

このような状況から、多くの大学で生涯学習やリカレント教育に関する取組を実施しています。

そこでこの記事では、大学職員への就職・転職を目指す方の業界研究・試験対策の参考になるように、大学の「生涯学習・リカレント教育」に関する取組を紹介します。

生涯学習・リカレント教育については、

①様々な世代・対象に向けた学びの提供
②特定の職業や業界に向けた学びの提供
③社会人に向けた学びの提供
④シニアに向けた学びの提供

の4つのカテゴリに分けて紹介します。

①様々な世代・対象に向けた学びの提供

「生涯学習・リカレント」の「様々な世代・対象に向けた学びの提供」に関する特色ある取組については、

・誰でも気軽に学べる「いばらきカレッジ」を開講(筑波学院大学)
・誰でも無料で参加可能なオンライン講座の開講(東北大学)
・地域の住民や子どもを対象とした「プログラミング体験」を開催(湘南工科大学)

の3つの事例を紹介いたします。

誰でも気軽に学べる「いばらきカレッジ」を開講(筑波学院大学)

筑波学院大学では、「いばらき地域づくり大学・高専コンソーシアム」が主催する連携公開講座として、誰でも気軽に学べる「いばらきカレッジ」を開講しています。

このコンソーシアムは、茨城県内の高等教育機関相互の関係を深め、連携・協働して地域の振興・発展に寄与することを目的に設置されたもので、県内の12大学1高専の計13校が加盟しています。

連携公開講座の開講は初めての試みであり、2019年は「医療・健康」をテーマに実施されました。

誰でも無料で参加可能なオンライン講座の開講(東北大学)

東北大学オープンオンライン教育開発推進センターでは、「世界と地域に開かれた大学」、「市民の知的関心を受け止め、支え、育んでいける教育研究活動を積極的に推進する大学」の実現を目指し、2016年度よりオンライン講座「東北大学MOOC」を開講しています。

MOOCとは、Massive Open Online Coursesの略で、Web上で誰でも無料で参加可能な大規模かつオープンな講義を提供し、修了者に対して修了証を発行する教育サービスです。

2019年度のテーマは次のとおりです。

・解明:オーロラの謎
・memento mori-死を想え-
・東日本大震災の教訓を活かした実践的防災学へのアプローチ-災害科学の役割
・男と女の文化史
・家族と民法
・銀河考古学入門~銀河の形成と進化を辿る~
・進化発生学入門 -恐竜が鳥に進化した仕組み-

地域の住民や子どもを対象とした「プログラミング体験」を開催(湘南工科大学)

湘南工科大学では、藤沢市在住または在勤の小学生以上を対象とした市民講座を30年以上に渡って実施しており、2019年度は「プログラミング体験」をテーマに開催しました。

この講座は、LEGO(R)やMinecraft(R)を操作しながら楽しくプログラミングについて学習できるもので、学生のサポートも受けられるようになっています。

当日は、小学生から70歳代まで幅広い年代の延べ242名が参加しました。

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②特定の職業や業界に向けた学びの提供

「生涯学習・リカレント」の「特定の職業や業界に向けた学びの提供」に関する特色ある取組については、

・国内教育機関初の専門・認定薬剤師養成の履修証明プログラムの開講(京都薬科大学)
・幼稚園教諭免許状を有する者対象の保育士資格取得特例のための講習の開設(川村女子学園大学)
・観光業に携わる人などを対象とした「地域振興のためのイノベーション講座」を開催(相模女子大学)

の3つの事例を紹介いたします。

国内教育機関初の専門・認定薬剤師養成の履修証明プログラムの開講(京都薬科大学)

京都薬科大学は、将来の薬学領域におけるリーダーの養成を目指して、2020年4月から全国初の専門・認定薬剤師養成の履修証明プログラム「Lehmann(レーマン)プログラム」を開講することを発表しました。

このプログラムは、医療の高度化・多様化や地域医療の推進などを背景に、薬剤師に求められる役割が変化しており、質の高い薬学管理や高度専門性の習得が求められていることなどを踏まえて設置されるものです。

具体的には、専門・認定薬剤師資格取得をサポートするための症例報告書作成コース、研究計画・実践コース、論文作成コースの3つのコースの設置や、学生5人につき1人の指導教員による少人数教育、芸術・IT・リーダー育成科目の開設などが特徴としてあげられています。

幼稚園教諭免許状を有する者対象の保育士資格取得特例のための講習の開設(川村女子学園大学)

川村女子学園大学は、社会貢献を目的に、幼稚園教諭免許状を有する者を対象にした保育士資格取得特例のための講習を開設しました。

この取組は、厚生労働省が保育士資格取得者の増加を目的に、幼稚園教諭免許取得者で3年以上かつ4320時間以上の実務経験を有する者に対して、保育士養成施設において特例科目(8単位)を修得することで、保育士の資格を取得させるという政策に則ったものとなっています。

観光業に携わる人などを対象とした「地域振興のためのイノベーション講座」を開催(相模女子大学)

相模女子大学は、相模原市観光協会と連携して、観光関連事業に携わる方や新たな観光に興味がある方を対象に、観光人材育成プログラム「地域振興のためのイノベーション講座」を開催しました。

この講座では、地域振興を進める上でキーポイントとなる「地域ツーリズム」の事例を教材として、ビジネスモデル検討のための基礎的な経営管理学を学べるものになっており、全3回で構成されています。

<講座の内容>
・第1回:ビジネスモデルとは何か?『地域ツーリズムの事例から』
・第2回:ビジネスモデルを作ってみる『新しい地域ツーリズムのモデルを考えて可視化する』
・第3回:女性実務家からの提言『地域ツーリズムのプロは何を考えているか?』

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③社会人に向けた学びの提供

「生涯学習・リカレント」の「社会人に向けた学びの提供」に関する特色ある取組については、

・働きながら修士号が取得できる大学院1年制コースを新設(昭和女子大学)
・社会人を対象とした「プロフェッショナル・スタディーズ」を開講(上智大学)
・職務経験10年のビジネスパーソンを対象とした「チェンジ・メイカー育成プログラム」を開講(立命館大学)
・社会人向けグローバル育成プログラムを開始(立命館アジア太平洋大学)
・社会人を対象とした「起業講座」の開講(東京理科大学)

の5つの事例を紹介いたします。

働きながら修士号が取得できる大学院1年制コースを新設(昭和女子大学)

昭和女子大学は、実務経験のある社会人を対象に働きながら1年間で修士号を取得できる大学院1年制コースを新設します。

このコースには、福祉社会研究専攻の「福祉共創マネジメントコース」と「消費者志向経営コース」、生活文化研究専攻の「1年制コース」があり、いずれも夜間やオンライン受講との併用など柔軟な学び方で仕事との両立が可能となっています。

「福祉共創マネジメントコース」は全国初の保育・福祉施設、保健医療・福祉経営者、管理者(リーダー)のためのコース、「消費者志向経営コース」は全国初の消費・経営大学院、「生活文化研究専攻の1年制コース」は実務経験を持つ学芸員やこれから学芸員・教員を目指す人のステップアップコースとなっています。

社会人を対象とした「プロフェッショナル・スタディーズ」を開講(上智大学)

上智大学は、実業界16社と連携した新たな社会人の学び場となる「プロフェッショナル・スタディーズ」を2020年4月から開講することとしています。

このプログラムは、国際社会で信頼を得る力を身につける「教養」、考証学・国際会計学といった特定分野に特化した「スペシャリスト養成」、さまざまな分野の専門家や著名人による「スペシャルトーク」の3つの講座を軸に展開することになっています。

このプログラムでは、アドバイザリーパートナー企業(会費500万円)となった企業は、各講座に計31人の社員が出席できることとなっており、一般企業会員(会費100万円)となった企業は各講座に計5人の社員が出席できることになっています。

職務経験10年のビジネスパーソンを対象とした「チェンジ・メイカー育成プログラム」を開講(立命館大学)

立命館大学では、職務経験10年程度のビジネスパーソンを対象に、異業種・異職種の人が集い学ぶ「チェンジ・メイカー育成プログラム」を開講しています。

このプログラムは、経済産業省が、誰もが自ら問いを立て、解決に乗り出し、変化を生む「チェンジ・メイカー」の資質が求められる時代であると指摘していることを踏まえて実施するものとなっています。

具体的には、異業種・異職種の方が混在する4~5人程度のチームで、企業や地域のリアルな課題を発見し、議論を重ねて解決策を検討するプロジェクトをベースとしたトレーニングを行うこととなっています。

プログラムの中では、オンデマンド講義や企業訪問、社員ヒアリングなどを実施することも想定されています。

社会人向けグローバル育成プログラムを開始(立命館アジア太平洋大学)

立命館アジア太平洋大は、社会人を対象とした2泊3日の短期集中型グローバル人材育成プログラム「GCEPエクスプレス」を新たに開始しました。

立命館アジア太平洋大学では、これまでも、数ヶ月の間、社会人を受け入れ、一般の学生とともに正規科目を履修したりするプログラムを開催してきました。

今回は、2泊3日と短期間になりますが、講座のテーマや対象者を絞り集中的に学習することでそれぞれが必要とするスキルを身につけてもらえるようにしています。

第1回講座では、海外赴任が決まった人や新たに外国人材を受け入れる企業の担当者など、多文化間コミュニケーションを必要とする人向けの講座としています。

社会人を対象とした「起業講座」の開講(東京理科大学)

東京理科大学は、「東京理科大学オープンカレッジ」において、社会人30名を対象としたマネジメント分野の講座「起業講座~誰でもわかる新規事業・起業入門~」を開講しました。

この講座は、働き方が多様化する中、「いつか起業してみたい」、「新規事業を立ち上げたい」と考えている方も多いことを踏まえ、開講することとしています。

講座の内容は、新規事業の開発や起業に関する基本的な知識について、実践演習を交えながら、(1)起業・新規事業とは、(2)起業前に何をすべきか、(3)起業後の戦略、という流れで行い、起業および新規事業開発のエッセンスを短期間で学ぶことができるものとなっています。

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④シニアに向けた学びの提供

「生涯学習・リカレント」の「シニアに向けた学びの提供」に関する特色ある取組については、

・「シニア専修コース」の設置(園田学園女子大学)
・立教セカンドステージ大学(立教大学)
・「シニアのための開放講座」を開催(静岡理工科大学)

の3つの事例を紹介いたします。

「シニア専修コース」の設置(園田学園女子大学)

生涯学習に関心があり3年間じっくり学習する意欲のある方を対象に、「シニア専修コース」を設置しています。

このコースには、「健康でアクティブな生活」の実現のために、「学び直し」と「再チャレンジ」の場として、文学歴史・国際文化・情報の3コースが設置されています。

それぞれのコースは、基礎から専門に至る魅力的なカリキュラムを配置しており、修業年限は3年、各学科・学年で定められた必修科目などを毎年2科目(通年科目換算)、3年間で6科目以上を履修することになっています。

卒業時には卒業証書とともに、文部科学省が定める学校教育法105条に基づく「履修証明書」が交付されます。

立教セカンドステージ大学(立教大学)

立教大学では、「学び直し」「再チャレンジ」「異世代共学」を目的に、50歳以上のシニアを対象とした「立教セカンドステージ大学(RSSC)」を開設しています。

立教セカンドステージ大学は、単発の講座ではなく修行期間が1年間で、修科目・選択科目・ゼミナールなどの体系的プログラムを通じて、所定の単位を修得すると修了証書が授与されることになっています。

また、ゼミが必修となっていたり、フィールドスタディがあったり、立教大学の部学生を対象に開講している授業を一定の範囲で受講できるなどの特徴もあります。

修了生多くは同窓の仲間と一緒に社会貢献活動をしたり、研究会や読書会などにも参加して、セカンドステージ・ライフを満喫しています。

「シニアのための開放講座」を開催(静岡理工科大学)

静岡理工科大学では、55歳以上の方を対象に大学で開講している科目の一部を開放する「シニアのための開放講座」を開催しています。

この鋼材は現役の学生と一緒に講義を受けるもので、現役学生とともに「学び直し」ができるものとなっています。

2020年度は「食品衛生学」「脳と情報」「英語コミュニケーション論」が対象となっていました。

合わせてチェック

各分野の特色ある取組を紹介している記事について

各分野の特色ある取組については、本ブログでも紹介していますが、会員限定の「大学職員への就職・転職対策サイト」ではより多くの取組を紹介し、紹介する内容も定期的に追加しています。

また、会員限定の「大学職員への就職・転職対策サイト」では、各分野の特色ある取組だけでなく、

・志望動機や志望理由の実例紹介
・エントリーシート作成例の紹介
・テーマ別小論文作成例の紹介
・テーマ別グループディスカッション対策
・大学職員の面接試験を受ける方が事前に作成した想定される質問と回答予定内容
・大学職員採用試験を実際に受験した方から情報提供いただいた面接試験で実際に出された質問
・大学職員採用試験を受ける前に知っておきたい66のデータ
・各種大学ランキングの掲載URLの紹介
・その他大学職員採用試験に活用できそうな情報(女子大学の存在意義、URAと事務職員の役割分担、応募する大学の課題や弱みを確認する方法等)

など、一般には公開しにくい情報を中心に掲載しています。

よろしければ会員限定の「大学職員への就職・転職対策サイト」もご活用ください。
⇒(会員限定)大学職員への就職転職サイト

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