大学職員の採用試験に合格するためには、仕事理解や業界研究を行う必要があります。そこで、現役大学職員である管理人が大学職員の「学生支援の仕事」について解説します。私自身も学生支援系の部署で働いたことがあるので、そのときの経験も踏まえながら紹介します。
はじめに
大学職員を目指す方の中には、「学生支援をしたい」「学生のサポートに携わりたい」という人は多くいます。これは学生支援の仕事がイメージしやすいことや、自分自身が学生時代に何らかのサポートを受けた人が多いということもあると思います。
また、大学時代に多様な経験をしてそれに感謝をしたり、就職後にそのときの活動が活かされているということから、「学生に多様な経験を積んでほしい」と考える人も多いです。
近年は様々な学生支援があり、従来の奨学金などの支援から、学生の学習のサポート、メンタル的なサポート、ダイバシティ的な面などもあり、内容によっては教務部門と連携したり、国際系の部門と連携したりすることもあります。最近ではコロナへの対応も学生支援の仕事の1つにもなっていました。
また、最近は高校生が志望校を選ぶ際に、学生サポートの質の高さも見るようになってきている気もしています。この記事では学生支援の仕事をイメージできるようにいくつかの学生支援に関する仕事を紹介いたしますので、仕事理解・業界研究の参考にしていただければと思います。
学生支援の主な仕事内容の紹介
学生支援の仕事には、学生生活全般の相談への対応から、サークル・部活等の課外活動に関するサポート、奨学金関係業務など様々なものがあります。
また、最近ではメンタル面のケア、資格取得支援、コロナ禍においては学生同士がコミュニケーションを取れる場の創出など様々なものもあります。
大学職員採用試験で「学生支援をしたい」と伝えたい人は、学生支援の仕事にはどのようなものがあり、どんなことが求められるかなどについてイメージできるとよいと思います。
ここでは学生の支援の主な仕事について紹介します。
⇒(参考)【大学職員業界理解】大学における各分野の特色ある取組(学生支援編)
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学生生活全般の相談への対応
学生支援部門には学生からかなり幅広い内容の相談を受けることになります。内容によっては関係する部署に取り次ぐことになりますが、そのような場合もせっかく相談してきている学生が目の前にいるので、何とか可能な範囲で対応する必要があります。
特に入学直後は学生生活に不安を持っている学生が多いので入学当初の学生のサポートは非常に重要になります。
最近は、メンタル的に弱い学生が増えてきており、大学としてのサポートの拡充が必要になってきていると言われています。
退学する学生が多くなってしまうと大学の収入も減ってしまうので、退学者を減らせるようなサポートを考え出している大学も増えてきています。
サークル・部活などの運営サポート
学生がサークルや部活動を行っていくうえでのサポートを行います。具体的には、サークル・部活の立ち上げ時の手続きのサポートや学内の施設を利用するためのルールを説明したりします。
また、ルールどおりに活動をしない団体があった場合は大学のルールに則った活動をするように指導をしたり、未然に事故や問題が起きないようにする対策を考えたりします。
大学の広報的な観点から考えると、部活やサークルの活躍は大学の広報としては非常に有効になります。
一方で、部活やサークルが不祥事を起こしてしまうと「学生が勝手にやった」だけで済ますことはできず、大学にとってはものすごくマイナスイメージになってしまいます。
最近は、そうならないための対策も求められるようになってきています。
様々な学生トラブルの事前防止・注意喚起
大学生が巻き込まれるというトラブルには様々なものがあるため、そのようなトラブルに巻き込まれないように事前防止や注意喚起を行います。
例えば、アルコールに関すること、SNSに関すること、宗教に関すること、薬物に関すること、投資詐欺に関することなど、大学生が巻き込まれるようなことがあれば、事前に何らかのガイダンス等で説明をしたり、リーフレットを作ったりします。
このようなトラブルは時代とともに新しいものが増えていくので、大学としてもできる限り早めに情報収集して、自分の大学の学生に被害が出ないようにしていく必要があります。
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学生寮の管理・運営
学生寮を持っている大学では、学生寮の管理・運営の業務もあります。
学生寮は家賃が安く人気なので、大学によっては抽選を行うなど入居者の選定を行う必要があります。そこでは学生が納得する公平な方法で実施する必要があります。
また、多くの大学では大学のグローバル化(国際化)を推進しており、大学によっては留学生と日本人学生が一緒に住める学生寮の建設を進める大学も増えてきています。
そうなると、建設するための予算(お金)の問題やルールの策定など多くの課題や問題を解決していく必要があります。
学園祭などの学生が主体的に行う行事のサポート
学園祭は学生にとってはものすごく大きなイベントになりますが、事故や事件などが起こらないようにサポートするのも大学職員の仕事です。
また、学園祭では近隣の方から騒音などに関するクレームがくることも多くあります。そのような場合は、大学としてできる限りの対応を考えて近隣の方に納得してもらえるよう説明することも必要になったりします。
学生によい思い出を残してもらうためには大学職員がしっかりと裏からサポートする必要があります。
奨学金の申請受付や交付の決定手続き
現在の多くの学生が経済的な不安を抱えて奨学金を借りているケースが増えているため、奨学金などを受給するための手続きを行います。
一般的に奨学金といっても、日本学生支援機構のような「貸与型」の奨学金もあれば、大学独自で選ばれた学生に給付する返済義務のない「給付型」の奨学金があります。また、「授業料の減額や免除」といった形の経済支援もあります。
いずれにしても、申請量も膨大で申請ミスがあると授業料を支払えなくて退学になってしまうケースもあるため、かなり慎重に扱う必要があります。
また、他の機関が募集している奨学金に学生が応募する場合もあります。そのような場合は学生がその奨学金に合格できるようアドバイスをしたりもします。
施設貸出の手続き
部活やサークルなどが大学内の施設を利用する際の手続きを行います。大学には多くの部活やサークルがあるので、ルールに基づいて公平に行う必要があります。
ルールを守らない部活やサークルがあった場合は注意をし、必要に応じて使用停止にすることもあります。
また、外部の人に大学の施設を貸し出すこともあります。外部の人に施設を貸し出す場合は、お金をいただくことも多く、それは大学としての収入になります。
最近は学生が減ることにより、授業料収入が減ってしまうので、授業料以外の収入を増やす取組を進める大学もあります。
そのような観点からいかに効率的に施設貸出を行うかという検討も必要になってきます。
学生からの要望・クレームへの対応
学生からの要望・クレームについては、個別の学生からの場合もありますが学生団体からの場合もあります。
単純に「職員の態度が悪い」というような要望であれば担当部署に連絡をして改善を促すことができますが、お金のかかる要望についてはすぐに対応することができません。
そのようなときは、学生だからといって簡単に受け流すのではなく丁寧に説明をして、誠実に対応することが求められます。
職員としてはどんな要望・クレームであったとしても、学生の声を真剣に受け止め、問題を解決するために動くがことが求められます。
「忙しいときにそんなことを言わないでよ」というようなときもありますが、学生が大学を嫌いになってしまうと長期的にみると大学にとってはものすごくマイナスになるので、このようなことを普段から意識して業務に取り組む必要があります。
学生のメンタルサポート
近年は様々な面で学生のケアをしていくことが求められており、その1つとしてメンタル面のケアがあります。
実際に相談にあたるのは専門のカウンセラーさんになりますが、職員としては学生がカウンセラーさんと相談できる環境の構築などをしていく必要があります。
実際に相談環境ができたとしても、相談者が増えた場合にどうのように対応するのか、予約の方法は適切か、同じ人が高頻度で利用していて新しい人が相談できないような状況になったらどうするのか、オンラインでの相談を受け付けるのかなど、運営をしていく中で様々な課題が出てくるので、そのような課題をカウンセラーさんと相談しながら解決していくことになります。
ボランティア活動の推進
ボランティア活動の推進については、学生がボランティアを通じて様々な経験を積んだり、学べることだけでなく、大学のブランディングとしても重要になります。
基本的には、大学側がボランティアできる機会(ボランティアプログラムの構築)を提供したり、紹介するという業務になりますが、大学によっては学生自身がボランティア活動を推進する活動を行っていたりもします。
大学によっては、ボランティアコーディネーターという専門職を雇用し、ボランティアプログラムをコーディネートし、学生たちが自分たちの興味や専門分野に合わせてボランティア活動を選択できるようにしています。
学生の対する各種サポート制度の企画・実行
近年は学生の対するサポートの質を高めることが求められています。
例えば、図書館に日頃の学修を相談できるスタッフを配置したり、入学時には大学での学び方やレポートの書き方を指導できるようにしたり、学生同士のつながりを持てる場の提供、ボランティア情報の提供、性別に関する配慮、障害を持つ学生の対応、課外活動を推進するための取組、メンタル不調を訴える学生への支援など新たなサポートが求められています。
このような学生に対する新たなサポートを制度は、お金や手間もかかりますし、人員も必要になります。また、先生が似も協力してもらう必要もあります。
実際に新たなサポートを企画し、実行していくためには様々なハードルがありますので、それを乗り越えることができる粘り強さも求められると思います。
⇒(参考)【大学職員業界理解】大学における各分野の特色ある取組(ダイバーシティ編)
学生支援の仕事まとめ
学生支援の仕事は以上のようなイメージです。大学職員の仕事としてはどちらかというとイメージしやすい分野だと思います。
仕事の名前のとおり学生と接することができるので、非常に大学っぽい仕事です。
ただ、ものわかりのよい学生ばかりではなく、こちらの説明を聞き入れてくれない学生がいたり、学生が起こした問題によって対外的な対応をしなければならないところは大変なところでもあると思います。
特に権利意識の強い学生は、こちらが説得するどころか油断すると職員側がねじ伏せられてしまうケースもあります。最近は保護者からのクレーム的な電話があったり、保護者が直接大学に乗り込んでくるようなこともあるので、難しい対応が求められることもあります。
私が学生支援の仕事を経験して感じたこと
私が学生支援の業務を経験して特に印象に残っていることは奨学金関連業務です。
奨学金には貸与型と給付型があったり、学内のものが外部のものがあったりします。私が担当したいたときに外部の給付型の奨学金があり、私の担当する学生が、ある奨学金に応募することになりました。
この奨学金は選考が厳しい状況があり、過去に不合格となった事例も少なくありませんでした。しかし、先輩学生からの情報提供や面接の練習を通じて、学生を奨学金の受給者として採用させることができました。
この奨学金は1年生の途中から4年生まで毎月一定の額が給付されるもので、学生は「親の負担を軽減できてうれしい」と感謝の意を示してくれました。
このように学生をサポートし、その成長を直接見守ることができるという経験は、大学職員としての魅力の一つだと考えています。
最近では新たなサポートの仕事が増えており、それに伴い対応が難しい仕事も増えてきています。例えば、オンライン授業や学習の増加に伴い、情報機器のサポートが必要になってきました。また、多様な背景を持つ学生への対応や、精神的な問題を抱える学生への援助など、新たな課題に対処するための新しいスキルと知識を身につける必要があります。
これまで以上に困難な仕事が増えてきましたが、私自身は学生支援の仕事はとてもやりがいのあるものだと思っています。
その他大学職員の「仕事理解」ができる記事
その他にも大学職員の「仕事理解」ができる記事がありますので、参考にご覧ください。
★大学職員の仕事②「教務の仕事内容」の紹介
★大学職員の仕事③「就職支援・キャリア支援の仕事」の紹介
★大学職員の仕事④「産学連携・研究支援の仕事」の紹介
★大学職員の仕事⑤「留学支援の仕事」の紹介
★大学職員の仕事⑥「広報・入試の仕事」の紹介
★大学職員の仕事⑦「人事・総務の仕事」の紹介
★大学職員の仕事⑧「企画・財務・会計の仕事」の紹介
★大学職員の仕事⑨「情報システムの仕事」の紹介
・これまでに大学職員を目指す約100人の方の応募書類等の添削や面接対策に対応
・キャリアコンサルタント(国家資格)保有
・ツイッター(@daigaku_123)でも採用試験対策に関する情報を発信しています
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第3位:大学職員の給料(年収)はピンキリだから受ける前にこの記事読んで!
第4位:現役大学職員面接官が伝える採用試験に合格するための対策
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第6位:大学職員の仕事内容を理解しておく理由と仕事理解ができる記事の紹介
第7位:面接質問例「大学職員に採用されたらどのような仕事がしたいですか」の回答
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