私が大学職員に転職したのは10年以上も前になります。これから大学職員を目指す方にとっては、大学職員転職後にどのような変化があるのか知りたいとところだと思います。そこで改めて私なりの大学職員に転職する前の気持ちと今の気持ちの違いについて改めて考えてみたいと思います。

大学職員に転職する前のこと

私は大学卒業後、民間企業に就職し、営業担当の社員としてその会社で4年間働きました。

その会社はかなり忙しく、休日出勤もよくある会社でしたが、人間関係はすごくよくて、自分を成長させるための環境としてはすばらしいところでした。

ただ、その会社は、当時の私のような20代の社員だけでなく、30代、40代、50代の社員や役職がそれなりにある社員の人でも、残業も多く、また、休日のサービス残業があったりなど、いわゆる「激務」といわれる状況で、定年までこの会社で働くと、プライベートの時間ももてないし、家族サービスもできないと思うようになり、転職活動を始めることにしました。

転職活動を始めたときは、「必ずこの日までに転職したい」という強い思いはなかったのですが、思ったよりもうまく転職活動が進み、最初に入社した会社は結果的に4年で退職することになりました。

転職した当初の大学職員のイメージ

大学職員という仕事は、友人に大学職員がいたこともあり、以前からなんとなくのイメージをもっており、「安定した職業」というイメージをもっていました。

私にとっての「安定した職業」とは、残業があまり多くない、営業のように売り上げのプレッシャーがない、休日をしっかりとれるというものです。

そこで、改めて大学職員についてインターネットで調べてみると、私のイメージどおりの記載が多く、また、給料も高いかもしれないということがわかり、大学職員への転職を進めることになりました。

そして、たまたまある中堅大学の大学職員の採用試験に合格することができ、大学職員に転職することになりました。

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大学職員に転職する前後の気持ちの変化

ここで、大学職員に転職する前の気持ちと今の気持ちを比較してみたいと思います。

残業(労働時間)について

まず、残業(労働時間)についてです。
残業(労働時間)については、転職前は、単純に早く帰れるだろうと考えていました。

しかし、実際に大学で働いてみると、すべての部署で早く帰れるわけではないということがわかりました。

私がこれまで経験した部署や周りの職員から聞いた情報によると、終電帰りが何ヶ月も続く部署もあれば、ほとんど毎日、定時の時間で帰れるという部署もあったり、1年の半分はものすごくヒマなのに、残りの半分はものすごく忙しい部署があったりと、部署によりけりという感じでした。

特に私は、最初に配属された部署が大学の中でも忙しい部署で、残業も1年間を通じてそれなりにあったり、土曜や日曜の休日にサービス出勤をしなければならないこともあったので、転職したばかりの頃は「イメージと違かった」と強く感じていました。

しかし、2つ目の部署では、3~5月はそれなりに忙しいものの、その他の時期はほとんどが定時の時間で帰れる部署だったので、ここの部署は転職前のイメージどおりという感じでした。

このように、大学という職場でも、忙しい部署と暇な部署が存在していて、すべての部署で定時の時間で帰れるわけではないということがわかりました。

ただし、大学全体で見ると、残業が少ない部署のほうが多いので、以前の会社に比べると、大学職員のほうが残業(労働時間)の点では「安定している」と思っています。

忙しい部署に配属される人とそうでない人の違いについて

これは大学職員に限らず、どんな組織でも同じだと思いますが、いわゆる「仕事ができる」という印象のある職員は業務量が多い部署や企画系などのルーチンワークが少ない部署、新たなに設置される部署などに配属される傾向が高いです。

私の大学ではこのような部署はもともと残業が多く忙しい部署が多いので、「仕事ができる」という印象のある職員は忙しい部署に配属されやすいです。

これは人事側としては当然の対応で、業務量の多い部署では忙しければ忙しいほど、職員が体調やメンタルに支障をきたす可能性があり、そのようになってしまうとまた別の人を配置しなければならなくなるため、そのようなことにはしたくないという本音があります。

また、企画系や新規部署については、このような部署の仕事は大学全体に影響したり、各部署との調整事項が多く、あまり仕事のできない職員を配置してしまうと、大学全体がうまく回らなくなってしまうからです。

このように「仕事ができる」という印象のある人は人事側の事情や大学運営をうまく回すために、忙しい部署に配属される可能性が高くなります。

ただ、「お子さんが小さい」、「親の介護がある」などの特別な事情がある人は、「仕事ができる」という印象がある人でもその時期は配属部署を考慮してくれることもあったり、私の大学では「忙しい部署」⇒「普通の部署」⇒「忙しい部署」などのように、「忙しい部署」に配属された後は、普通の部署に配属するというような配慮がある場合もあります。

このため、「仕事ができる」という印象のある人でも常に忙しい部署というわけではないというところもあります。

また、大学によってはもともと残業の少ない大学もあると聞いているので、大学によってもかなりバラツキがあるのだと思います。

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常に忙しくない部署に配属され続けることはあるか

結論としては2つパターンがあると考えています。

1つ目は、上記にも記載したように何らかの事情のある人は人事側も考慮してくれるケースが多いので、常に何らかの事情があるという人は常に忙しくない部署に配属されることがあります。

ただ、このような人は割と責任感をもって、勤務時間内にしっかりと仕事をする人も多いため、大学への貢献度はかなり高いと思っています。

2つ目は、「仕事ができない」という印象のある職員です。このような職員は業務量の多い部署や高度な仕事のある部署に配属してしまうと、何らかのトラブルを起こすのではないかとの疑念が生じるため、忙しい部署には配属されにくいです。

このため、色々な部署で一定のレベル以下の仕事や成果しか出さなければ忙しい部署には配属されにくくなります。

ただ、このような職員は、周りの職員からの評判も悪くなるため、恐らく職場に居づらくなり、結果的に「忙しい部署」に配属されるより辛い状況になる可能性が高いです。

このため、一概に「仕事ができない」という印象を与えればよいということでもないと思っています。

やはり一番よいのは自分自身の能力値を上げて、どんな部署でも残業をせずにこなせる能力を身に付けることだと思っています。そのためには、体力のある若いうちに様々な経験を積んでおくことが大事なのかなと個人的には思っています。

仕事内容(仕事でのプレッシャー)について

次に、仕事内容(仕事でのプレッシャー)について考えたいと思います。

私は、最初に入社した民間企業では営業スタッフとして働いていたので、毎月の売り上げ管理がそれなりに厳しくされていました。

基本的には前の年の同じ月と比較をされ、前の年の売り上げを下回ると、改善計画を求められるなど、色々なプレッシャーがありました。

その会社では、自分の売り上げが前年を下回ると、部署全体でフォローする必要があり、同じ部署の先輩や後輩がその分をまかなう必要がありました。

自分が他の社員の人のフォローをしているうちはいいのですが、自分がフォローされる立場になると、みんなに申し訳なかったし、自分へふがいなさを強く感じたり、なぜうまくいかないのかと自問自答をしたりと、営業スタッフならではの大変さがあったと思います。

ただ、部署としての目標が達成できたときや新しい顧客を獲得できたとき、自分の部署が社内で表彰されたときなどは、部署のみんなで家族のように喜んだりすることができ、本当にうれしかったし、楽しかったです。

大学職員に転職後は、営業のように仕事内容を厳しく管理されることはなく、業務量が多くて大変なこともありますが、営業のときのようなプレッシャーを感じることは、以前の会社よりも圧倒的少ない状況です。

このため、仕事内容(プレッシャー)という視点でも、やはり大学は「安定している」ので、この点は大学職員への転職前のイメージどおりです。

ただ、前の会社で感じることができた目標を達成したときの達成感や喜び、同じ部署の人との一体感は前の会社に比べると弱いように感じています。

もちろん、大きなイベント(入試、オープンキャンパス、学園祭)などが無事に終われば、ある程度の達成感や喜びはあるのですが、それらはうまくいって当たり前ということも多く、以前の会社ほどの部署全体の一体感はなく、少し寂しいと感じることもあります。

仕事での達成感や喜びについては、実はあまり転職前に比較したことはなかったのですが、実際に大学で働いてみると、ちょっと寂しいなと思うことがあります。

この点では、大学職員への転職前にイメージができていなかった部分になります。

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休日について

次に、休日について考えてみたいと思います。

以前の会社では、土曜日は年の半分以上はサービス出勤をし、日曜日も家で企画書を作ったり、事務処理をしたりと、休日に仕事をするということはよくありました。

このため、休日といっても、本当に休める日というのはあまり多くはありませんでした。

大学では、転職したばかりの頃は休日出勤することもありましたが、多くの部署では休日をしっかりととれているので、転職する前のイメージどおりで、プライベートの時間をしっかりと確保できると思います。

実際に休日がしっかりととれるようになると、プライベートの時間をとれるだけでなく、自分自身の勉強の時間もとれるため、やはり休日はしっかりとれたほうがよいと思います。

私自身は、以前の会社にいるときも「勉強したい」という気持ちはそれなりにありましたが、やはり体が疲れてしまっていると、なかなかモチベーションが続きませんでした。

休日がしっかりとれていれば、「疲れている」という言い訳ができなくなるので、より自分を追い込めるようになります。

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給料について

最後に給料について考えてみたいと思います。

給料については、転職前には、「もしかしたら高いかもしれない」と思っていましたが、私の大学はそうでもありませんでした。

前の会社と比較してもあまり変わらないという感じです。

一般的に、大学職員の給料は高いと言われたりしますが、大学に入り、他大学の方と情報交換してみると、ピンキリであるということがわかりました。

たしかに、ボーナスを年間で6か月分もらえる大学もあるようですし、30代で年収800万円に達する大学もあるようです(インターネットの情報ですが)。

ただ、私の大学では、30代中盤で550万円~600万円くらいです。

正直、期待していたよりは少なかったのですが、仕事が全体的に「安定している」ことを考えると、悪くない給料だと思っています。

もちろん、上を見ればきりはないのですが、もっと大変な職業でも、私の大学よりももっと安い給料という職業もたくさんあるので、どちらかというと恵まれているんだと思います。

このように、大学職員に転職する前のイメージどおりのものあれば、イメージとは違っていたものもあります。

なかなかすべてについてイメージすることはできないと思いますが、これから大学職員への転職や就職を目指す人の参考にしていただければと思います。

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