大学職員の仕事内容

大学職員の仕事⑦「人事・総務の仕事」の紹介

大学職員の採用試験に合格するためには、仕事理解や業界研究を行う必要があります。そこで、現役大学職員である管理人が大学職員の「人事・総務の仕事」について解説します。

はじめに

大学職員になりたいという人は学生と接する部署や研究支援を行う部署で働きたいという人が多く、「人事・総務の仕事」をしたいという人はあまりいない印象です。実際に面接試験で人事・総務系の部署を希望する人はありまりいません。
(実際の面接試験ではほとんどあったことはありませんが、ココナラというサイトで転職相談を受ける中で、人事系部署の経験者が採用試験に合格するということは数件見てきています。)

ただ、多くの大学では一定の年数ごとにジョブローテーションを行っており、人事や総務系の部署に配属されるということもあるので、このような仕事もあるということは知っておいていただければと思います。

人事・総務の主な仕事

大学にも普通の企業と同様に、人事や総務などの仕事があります。恐らく皆さんのイメージよりも、人事や総務などの学生と接しない部署で働く人が多くいるので、大学職員になった際にはどこかのタイミングでこのような部署に配置される可能性もそれなりに高いと思っています。

人事・総務の仕事はイメージできているようでできていない人も多いと思うので、この記事を参考の仕事理解・業界研究を深めていただければと思います。

ここからは人事・総務の主な仕事を紹介させていただきます。

教員や職員の採用・昇任の手続き

人事・総務で一番にイメージがつきやすいのが採用や昇任の手続きだと思います。採用については採用試験要綱のようなものを作成し、それに従って試験を行い、採用者の決定を行います。

職員の試験内容については書類審査、筆記試験、グループディスカッション、プレゼン試験、個人面接など、大学によって内容が異なっています。応募手続き、受験票の送付、試験当日の準備、当日の運営、合格者の決定手続きなどを行います。

教員も同様に書類審査や面接試験だけでなく模擬授業を行うような大学があり、必要な試験の準備・運営などを行います。入学試験ほどではないですが、採用試験についてもかなり気を遣う仕事になります。

教員については先生方が実際の選考を行うケースが多いので、職員は補佐的に手続きをサポートするのみという場合もあります。

昇任については大学の中の人への対応のため採用試験ほどは気を遣いませんが、職員については昇任制度がしっかりと整っていないと、モチベーションの低下につながってしまうので、昇任の選考手続きだけでなく制度をどのようにしていくかということも課題になっています。

教員については学部ごとに昇任のルールが決まっているケースが多く、これも選考は先生方が行うケースが多いので職員はそのサポートをするということになることが多いです。

教員や職員向けの研修を企画・運営

採用された教員・職員に対してはそれぞれ研修を行っていく必要があります。

職員に対しては新入職員研修からその後も継続的に研修を実施したり、主任研修や係長研修、管理職研修など、職階が上がるたびに研修を行うことが多いです。

研修を行ううえでは外部の講師を探したり、内部の職員に研修講師をお願いしたりする必要があります。また、研修は時代に応じて変更する必要もあるため、随時研修の効果を確認しながら、必要に応じて研修内容の変更を行っていく必要があります。

教員に対しては職員ほど研修を行うケースは多くないのですが、授業改善や教育力向上のための研修をFD(Faculty Development)活動の一環として行ったりします。

この場合も同様に講師の手配から研修当日の運営、研修内容の変更の検討などを行っていく必要があります。

教員や職員の評価(勤務評定)

教職員の評価を行うのも人事・総務の仕事の1つとなります。職員については民間企業の営業職のように、数字で表れるような実績が少ないためどのように評価を行うかが難しかったりします。

また、教員については同じ学部に研究内容の異なる教員が多くおり、研究内容が異なる状況で優劣をつけるのは難しいと言われており、教員の評価も簡単にはいかなかったりします。

これは昇任と同様にある程度しっかりとした制度になっていないと、教職員のモチベーションを下げてしまうことにもなるので、どのような制度にしていくかも重要になってきます。

大学によっては毎年の評価を翌年の給料やボーナスに反映することもあるので、そのような大学のほうが評価の信頼性は求めらることになります。

昇任試験を行う際は採用試験と同じような手続きで運営をしていく必要があります。

教員や職員の給与・諸手当の決定し・支払い

教職員の給与を決定・支払うのも人事・総務の仕事です。教職員の給与は給料規則などに定められており、基本的にはルールどおりに支給するものですが、最近では勤務成績に応じた給料にする傾向になってきています。

具体的には勤務成績がよい人の給料は、翌年度の給料を通常の人よりも高くしたり、勤務成績が悪い人は通常の人よりも翌年度の給料を下げたりする傾向があります。

このような給料の制度も教職員のモチベーションに関わってくるので、単なる支給を行うだけでなく適切な制度の検討も求められています。

災害などが起きた際の危機管理

東日本大震災を機に大学の危機管理が強く求められるようになってきています。このため、各大学では地震や火事などの危機を想定したマニュアルを作成し、実際に危機が起こった際に適切に対応できるよう準備を進めています。

このようなマニュアルは実際に危機が起こってみて初めて課題が見えてくるので、随時、改定を行っていく必要があります。

危機管理の担当になった職員はマニュアルを適切に改訂していくとともに、実際に危機が起こった際には、マニュアルに従って教職員、学生の安全を守るための対応をしていく必要があります。

避難訓練などを企画・実施

危機管理と近い仕事になりますが、避難訓練を実施する大学もあります。避難訓練を行ううえでは訓練のストーリーの作成から事前の調整、当日の運営などを行う必要があります。

当然に担当部署だけでは対応できないので、様々な部署に対して協力のお願いをする必要があります。

また、先生方に対しても協力のお願いをすることになりますが「授業を中断してまで訓練を行いたくない」などという教員もいたりと、簡単には実施できない場合もあったりします。

労働組合との交渉

大学にもよりますが、労働組合がある大学では労働組合との交渉を行う必要があります。実際には管理職などが交渉を行うことになりますが、担当者は交渉資料の準備や場合によっては交渉戦略を考えたりすることもあります。

労働組合との交渉は労働法などに細かくルールが決められていたりもするので、労働法の勉強が必要になる場合もあります。

また、最近は外部の労働組合(非常勤講師等が所属する労働組合)から問い合わせや交渉があることもあるので、そのような団体への対応も必要になってきます。

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人事・総務の仕事まとめ

教員の人事(採用)は大学の教育力や研究力を上げるために、非常に重要な位置づけとなっていますが教授会が権限を持っていることが多く、戦略的な人事がしにくいという現状があります(教員が戦略的な視点ではなく、知り合いなどを採用してしまうケースが多かったりします)。

現在、文科省においても「教育力の強化」や「研究力の強化」ということ意識しているので、各大学においても何らかの改革が必要な時期にきています。

また危機管理は、東日本大震災以降は求められるものが大きくなっており、各大学でマニュアル等の策定が盛んに行われるようになっています。

危機管理は、非常に幅広い観点(災害が起こったときの非難、学生の安全確認の方法、災害が発生したときの組織運営方法(職員がどのように動くか)など)があるので、かなり大変になってきています。

また、危機管理の1つの取組として難訓練を行うにしても、授業時間にやるのを教員が反対したりなど、なかなかうまく進められないこともあります。

危機管理の仕事は、大学としては割と今までにない仕事になるので企画力も必要ですし、先生方を説得するための高いコミュニケーション力なども、求められるようになります。

その他大学職員の「仕事理解」ができる記事

その他にも大学職員の「仕事理解」ができる記事がありますので、参考にご覧ください。

大学職員の仕事①「学生支援の仕事」の紹介
大学職員の仕事②「教務の仕事内容」の紹介
大学職員の仕事③「就職支援・キャリア支援の仕事」の紹介
大学職員の仕事④「産学連携・研究支援の仕事」の紹介
大学職員の仕事⑤「留学支援の仕事」の紹介
大学職員の仕事⑥「広報・入試の仕事」の紹介
大学職員の仕事⑧「企画・財務・会計の仕事」の紹介
大学職員の仕事⑨「情報システムの仕事」の紹介

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