【書評】大学関連書籍

「なぜ国際教養大学はすごいのか」を読んだ感想・レビュー

大学職員として必要な知識や情報を蓄積するため、大学関連の書籍を読んでいます。

大学職職員を目指す方の就職・転職活動をするうえでは、大学の「業界研究」を行う必要があります。

そのときに、大学関連の書籍を探している人もいると思うので、ネタバレしない程度に参考に学んだことなどをお伝えしたいと思います。

今回は、「なぜ国際教養大学はすごいのか」です。

書籍情報の紹介

■タイトル
 なぜ国際教養大学はすごいのか

■著者名
 鈴木 典比古

■略歴(書籍刊行当時)
 国際基督教大学准教授、教授、学務副学長を経て、国際教養大学理事長・学長

目次

第1章 世界の大学で何が起きているのか
第2章 リベラルアーツと日本のエリート
第3章 “秋田発”グローバルスタンダード大学
第4章 いま、日本の教育革命が始まる
第5章 世界標準の人材をつくるために

この本を読んだ理由

・国際教養大学の取組は、大学業界の中でもよく成功事例として挙げられることが多いです。

・このため、シンプルにどんな大学かを知りたいと思い、この本を読むことにいたしました。

学んだことや感想

第1章 世界の大学で何が起きているのか

・欧米の大学では、かなり以前から海外の学生をヘッドハンティングし、シンガポールでは、かなり贅沢な経済支援をしているということを初めて知りました。

・東京大学では、受験も講義も英語で行う「教養学部英語コース」を設置していますが、平成26年度は合格者が61人にもかかわらず入学者20名と約7割の合格者が辞退している状況があることを知り、外国人留学生を獲得することはかなり難しい面があると感じました。

・海外の大学では、ブランチキャンパスとして、本国以外にもキャンパスを設置していますが、日本では1つの大学のみしてブランチキャンパスを設けていないということで、日本のグローバル化の遅れを感じました。

・世界の一流大学でも、オンラインでの授業を進めており、これにより、年齢や国境を越えて教育を提供できるようになってきていることを知りました。

・アメリカでは多くの授業で「反転授業」が取り入れられているということで、日本でもどんどん推進していかなければならないと思いました。

・日本の大学の特性を踏まえたうえで、日本の大学の教育の問題点を3つ掲げており、教育の質を高める取組を進めていくためには、大学職員としてのこの3つの問題点はしっかりと認識しておかなければならないと思いました。

第2章 リベラルアーツと日本のエリート

・アメリカと日本では、幼稚園の時点から教育の考え方が異なっているということは驚きました。

・医師免許を取得する過程を例に挙げ、アメリカと日本の教育の進め方の違いを示しており、アメリカと日本の教育制度の違いを学ぶことができました。

・アメリカの大学では、多くの大学で寮生活を行うことになっており、そこでは「生きる力」を身に付けることになっているということを初めて知りました。

・日本の大学とアメリカの大学では、授業の中で重視していることが異なっていると感じ、社会で活躍していくためには、日本でもアメリカの授業運営のようなことができるとよいと思いました。

・国際教養大学では、寮生活や1年間の留学を必須としており、アメリカの教育に近い手法を使っていると感じました。

第3章 “秋田発”グローバルスタンダード大学

・留学生とともに学んだり、生活したりすることで、様々な課題・問題点が出ることになり、それを解決する過程で様々な能力が成長していくことがわかりました。

・国際教養大学は、学生と教員の比率が12:1、1科目あたりの平均履修者は17人、20人未満の授業比率は70.1%、50人以上の授業比率は1.9%となっており、他の大学ではコスト的には難しいくらいの少人数教育がなされていることを知りました。

・図書館が24時間利用できるようになってることも、学生にとっては非常に大切なことだと思いました。

第4章 いま、日本の教育革命が始まる

・日本では小学校から高校までが詰込み型の教育となっていて、大学では比較的ゆったり過ごせるようになっています。

・一方、アメリカでは、小学校から高校までは比較的ゆったりとしていて、大学のほうが詰込み型の教育になっているそうですが、同じ詰込み型でもアメリカでは「考える力」を養うための詰込み型ということが紹介されており、それが社会で活躍する人材を育成できている理由だと感じました。

・アメリカの大学では、成績が悪いと退学になるケースもあり、日本の大学とは異なると感じました。例えば、ハーバード大学でも、卒業率が50%ということで、日本大学の卒業率とはかなり違いがあることがわかりました。

・アメリカの大学では、教員を採用した際に、授業の進め方やクラスマネジメントに関する訓練を受けることになっているそうですが、日本ではあまりそのような制度はないので、このような取組は日本の大学にも必要だと感じました。

・国際教養大学の教員は基本的には3年の任期制で、優秀な教員については終身雇用をするような制度になっており、教員の質が保たれる制度になっていると感じました。

第5章 世界標準の人材をつくるために

・今後は大学だけでなく、社会や企業でもグローバル化が進み、それが当たり前の時代になっていくというのはそのとおりだと思いました。自分自身もそれに対応できるような人材になっていないと、組織から不要とされてしまうかもしれないので、改めて自分のやるべきことを考えていきたいと思いました。

・アメリカの大学では、中国人学生や韓国人学生は増えていますが、日本人学生は減少していると指摘されています。中国や韓国では国として海外留学を推進しており、日本でも国が協力に海外留学を推進していく必要があると感じました。

・また、大学職員としては、学生が留学しやすい環境を整えることが仕事になるので、留学をしやすいカリキュラム編成も含めて、職員ができることを考えていきたいと思いました。

・著者が主張しているこれからの教育のあり方は、まさにそのとおりだと感じました。

・著者が主張している「キャリアデザイン」については、一般的なキャリアデザインと異なり、単に就職のためのキャリアデザインではなく、大学での学び方や今後の生き方を指していると考えられ、非常に共感がもてるものでした。

合わせてチェック

大学職員を目指す方へのオススメポイント

「なぜ国際教養大学はすごいのか」は、国際教養大学の特色を挙げながら、「グローバル化の重要性」や「大学教育をどのようにしていくべきか」について記載されています。

非常にわかりやすく書かれており、グローバル化や大学教育について理解が進むので、これから大学職員を目指す方にもオススメの書籍です。

また、自分自身のキャリアについても考えるような記載もあるので、そのような観点からも読む価値のある書籍だと思います。

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