大学職員として必要な知識や情報を蓄積するため、大学関連の書籍を読んでいます。
大学職職員を目指す方の就職・転職活動をするうえでは、大学の「業界研究」を行う必要があります。
そのときに、大学関連の書籍を探している人もいると思うので、ネタバレしない程度に参考に学んだことなどをお伝えしたいと思います。
今回は、「大学の教育力-何を教え、学ぶのか」です。
書籍情報の紹介
■タイトル
大学の教育力-何を教え、学ぶのか
■著者名
金子元久
■略歴(書籍刊行当時)
教育学者(高等教育、開発教育)で、東京大学教育学部長、中央教育審議会委員。高等教育研究の第一人者として、その業績は日本のみならず国際的にも高い評価を得ている
目次
序章 「教育力」の構造
第1章 大学教育の歴史的潮流
第2章 大学教育のアメリカ・モデル
第3章 日本的特質
第4章 大学教育の転換点
第5章 職業能力・コンピテンス・教養
第6章 教育力を作るもの
第7章 教育力の基盤
この本を読んだ理由
最初のきかっけは大学職員の上司から「読んでみたら」とオススメいただいたことでした。
著者の金子先生は高等教育業界でも有名な人とのことで、「大学教育」の歴史や課題、進むべき方向性を学べると教えていただきました。
私自身は大学職員のため、実際の教育を行っていません。このため、本質的な教育の問題がわかっていないと感じています。
そんなこともあり、今回、この「大学の教育力」という本を読んでみたいと思いました。
学んだことや感想
序章 「教育力」の構造
「大学の教育力」、「成長環境としての大学」、「大学教育の構造と射程」について記載されています。
<特に印象に残ったこと>
・学生を学生の傾向を踏まえて四類型にまとめているのですが、大学によってどんな傾向の学生が多いかを把握し、それに合わせた教育を提供していかなければならないと感じました。
・大学教育の目的や方法についてまとめられており、自分自身の教育に対する考えの理解が深まりました。
第1章 大学教育の歴史的潮流
「大学の成り立ち」、「職業人養成とその乾燥」、「「リベラルアーツ教育」とその誤解」、「「フンボルト理念」とその呪縛」、「産業化、経済発展、大衆化」について記載されています。
<特に印象に残ったこと>
・大学の成り立ちとして、ヨーロッパの大学がどのような目的で生まれ、発展していったのかを理解することができました。
・何度か聞いたことはあるのですが、いつも頭に残らないので改めて勉強になりました。
第2章 大学教育のアメリカ・モデル
「アメリカ社会と大学教育」、「アメリカ社会と大学の使命」、「大学の教育組織」、「教育課程の3つの特徴」について記載されています。
<特に印象に残ったこと>
・アメリカの大学教育について、教育内容や授業の手法がどのように変化していったのかについて理解することができました。
・アメリカの4年間の大学教育について、3つの段階を示しており、アメリカ教育の特色を理解することができました。
第3章 日本的特質
「日本の大学の形成」、「理念-社会的合意の不在」、「制度と組織」、「教育課程」について記載されています。
<特に印象に残ったこと>
・ヨーロッパやアメリカの大学教育を踏まえ、日本の大学がどのような目的で生まれ、どのように形成されていったかがわかりました。
・日本の大学教育の特色として、「教員の傾向」、「職業教育の観点」、「リベラルアーツ教育の考え方」の3つの点を示している点も興味深かったです。
第4章 大学教育の転換点
「知識の爆発・知識社会化・グローバル化」、「ユニバーサル化の衝撃」、「青年期の変質」、「教養教育の再発見」について記載されています。
<特に印象に残ったこと>
・大学に求められる人材育成について、アメリカの労働経済学者がホワイトカラーに必要な4つの能力を示しており、非常に納得のいくものでした。
・大学の「ユニバーサル化」に伴い、どのような課題があり、大学に何が求められるかについて理解することができました。
第5章 職業能力・コンピテンス・教養
「大学教育と職業-二つのモデル」、「コンピテンスと大学教育」、「教養教育の再発見」について記載されています。
<特に印象に残ったこと>
・日本における大学教育と職業教育の役割分担について理解ができ、社会の変化により大学に求められるものが変わってきていることがわかりました。
・大学教育の過程において、専門的知識だけでなく、著者が示している3つの基礎能力を育成していくべきということについて理解ができました。
第6章 教育力を作るもの
「インパクトの基盤」、「教育力強化の戦略」、「教育改革のメニュー」について記載されています。
<特に印象に残ったこと>
・日本の大学では、大学が提供する教育だけでなく、様々な大学生活を通じて成長していくことができることを改めて認識いたしました。
・日本の教育の枠組みについて、アメリカとの違いを示しながら、日本における課題について理解ができました。
第7章 教育力の基盤
「教育組織のガバナンス」、「モニタリングと改善拠点」、「財政的基盤」、「質的改善のための社会的メカニズム」、「社会全体の投資としての高等教育」について記載されています。
・学士課程教育においての教育組織の課題について改めて認識することができました。
・大学教育の質を高めていくための基本的な考え方を示し、その方向性について理解することができました。
大学職員を目指す方へのオススメポイント
「大学の教育力」は、大学関係者向けに書かれた本なので、少し難しいところもあります。
しかし、大学の歴史や、日本の大学教育の課題、育成すべき能力、大学教育の質的改善に向けた方向性などは、大学職員を目指す方にとっても有用な情報になると思います。
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