大学職員になるには

女性が大学職員に転職するメリット|産休育休や働きやすさの実態

「大学職員は女性にとって働きやすい」という話を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。私は大学職員への転職・就職を目指す方のサポートをさせていただく中で、これまで多くの女性の転職相談に乗ってきました。その中でもよく聞かれる質問の1つが「本当に出産後も続けられるのか」「産休育休は取りやすいのか」というものです。この記事では、これまでの私の経験や大学職員仲間から聞いた話などを踏まえ、女性が大学職員に転職するメリットと注意点を率直に解説します。個人的な見解や感覚的なところもありますが、理想だけでなく現実も含めてお伝えしますので、転職判断の参考にしてください。

女性が大学職員に転職する5つのメリット

大学職員が女性にとって魅力的な職場である理由は、制度面と働き方の両方に明確なメリットがあるためです。ここでは、他業界と比較して優位性のある5つのポイントを具体的なデータとともに紹介します。

育休の取得率が一般企業よりも高い

大学職員の女性の育休取得率は、国立・私立ともに95%以上になると言われています。大学職員のみを対象とした調査はありませんが、公立学校教職員の育休取得率、公務員の育休取得率、各大学が独自に公表している育休取得率、私が勤務する大学の状況などを踏まえると、少なくてもこれくらいの数字になると思います。これは、民間企業の平均85.1%(厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」)を大きく上回っています。

さらに注目すべきは復職率の高さです。私が勤務する大学では、過去10年くらいの間に育休を取得した女性職員のうち、復職しなかったケースは1件のみでした。この方は、1人目のお子さんを出産した後、3年の育休を取得することになっていましたが、その間に2人目を妊娠し、計5年以上の育休を取得した後に、復帰をせずに退職いたしましたので少し例外的な方かもしれません。いずれにしてもそれ以外の方は、全員復帰しており、復帰した後に1年も経過しないうちに、また2人目の産休育休に入るという方もいたりします。

  • 育休取得率:95%以上/li>
  • 復職率:かなり高い
  • 育休期間:平均1年〜1年半(法定通り最長3年まで可能)

残業が少なく定時帰宅しやすい

大学職員の月平均残業時間は10〜20時間程度と言われています。これは民間企業の平均残業時間(月約24時間)と比較しても少ない水準です。

特に定時退勤しやすい理由として、以下の特徴があります:

  • 学生対応の窓口業務は17時までと明確に終業時間が決まっている
  • 夏季・春季の長期休暇期間は業務量が減少する
  • 年間スケジュールが決まっており、業務の計画を立てやすい(突発業務も想定しながら計画が建てられる)

ただし、入試広報課や学生課などの部署では、繁忙期(4月や入試時期)に残業が増えることもあります。部署による違いについては後述します。

有休消化率が高い

大学職員の有給休暇消化率は60〜80%と高水準です。私の勤務先では、年間20日の有休付与に対して平均14〜16日を消化しており、消化率は70%を超えています。

有休が取りやすい背景には、以下の制度や文化があります:

  • 計画年休制度(年に数日は全職員一斉取得日として設定)
  • 夏季休暇(3〜10日)が有休とは別に付与される
  • 上司が率先して有休を取得する文化のある大学もある
  • 子どもの学校行事での休暇取得に理解がある

民間企業の有休消化率が平均58.3%(厚生労働省調査)であることを考えると、大学職員の有休の取りやすさは大きなメリットと言えます。

福利厚生が充実している

大学職員の福利厚生は、特に女性のライフイベントに対応した制度が充実しています。

  • 出産・育児関連:産前産後休暇(産前6週・産後8週)、育児休業(最長3年)、育児短時間勤務(小学校就学前まで)、子の看護休暇(年5日)
  • その他の休暇制度:介護休暇、リフレッシュ休暇、ボランティア休暇など
  • 経済的支援:扶養手当、住居手当、通勤手当(全額支給が多い)、退職金制度
  • 健康管理:定期健康診断(人間ドックの費用補助がある大学も)、メンタルヘルス相談窓口

国立大学法人や大規模私立大学では、民間企業の福利厚生代行サービス(ベネフィット・ステーションなど)を導入しているケースも多く、レジャー施設の割引や育児サービスの優待が受けられます。

長期的に働ける環境

大学職員の離職率は非常に低く、長期就業が前提の職場文化があります。私立大学連盟の調査では、大学職員の平均勤続年数は15年以上とされており、民間企業の平均(12.3年)を上回っています。

長期就業しやすい理由:

  • 年功序列的な昇給制度で勤続年数に応じた給与上昇が見込める
  • 雇用が安定しており、経営悪化による人員削減リスクが低い
  • 出産育児による休職・復職が当たり前の環境
  • 定年まで勤める職員が多く、ロールモデルが身近にいる

転職相談を受けた方の中には、「20代で転職して定年まで30年以上働ける職場を探している」という方が多くいますが、大学職員はまさにそのニーズに合った職場と言えます。

産休育休制度の実態【国立・私立別】

産休育休制度は法律で定められているため、基本的な内容は国立も私立も同じですが、運用面や職場文化には違いがあります。ここでは実態をより詳しく見ていきましょう。

国立大学の制度と取得状況

国立大学法人では、公務員に準じた制度が整備されていることが多いです。法人化後も公務員時代の制度が維持されるケースが多く、産休育休に関する制度は非常に充実しています。

  • 育児休業期間:子が3歳に達するまで取得可能(法定通り)
  • 129.227.238.117)
  • 育児短時間勤務:小学校就学前まで利用可能で、1日最大2時間の勤務時間短縮ができる
  • 部分休業:1日2時間まで無給で休暇取得可能

国立大学の特徴は、制度の周知が徹底されている点です。人事部門が制度説明会を定期的に開催しており、妊娠が分かった段階で上司と人事が面談を行い、休業から復職までのスケジュールを一緒に確認する仕組みがあることが多いです。

私立大学の制度と実例

私立大学の産休育休制度は、大学の規模によって差があります。大規模私立(学生数1万人以上)では国立大学と同等かそれ以上の制度を整備している一方、小規模私立では最低限の法定制度にとどまるケースもあります。

大規模私立大学の例:

  • 育児休業:子が3歳まで(一部の大学では小学校就学前まで延長可能)
  • 育児短時間勤務:小学校3年生まで利用可能(国立より長い)
  • 独自の支援制度:復職支援金の支給、ベビーシッター費用補助など

中小規模私立大学の例:

  • 育児休業:法定通り1歳まで(保育所に入れない場合は最長2歳まで延長)
  • 育児短時間勤務:小学校就学前まで
  • 独自制度:ほとんどない場合が多い

私が転職相談を受けた方で、中堅私立大学に転職後に第一子を出産された方の例では、1年間の育休を取得し、復職時には時短勤務(1日6時間)を選択されました。職場の理解も得られ、「想像以上に働きやすい」と評価されていました。もちろん仕事と子育ての両立はすごく大変とのことですが、大学職員だからこそ仕事も続けられているとのことでした。

育休後の復職サポート

育休から復職する際のサポート体制も、大学職員の大きなメリットです。

  • 復職前面談:復職1〜2ヶ月前に上司・人事と面談を行い、勤務形態や配属先を相談
  • 時短勤務の選択肢:1日6時間など柔軟に選択できる大学もある
  • 業務調整:復職直後は比較的負担の少ない業務からスタートし、徐々に通常業務に戻す配慮
  • 保育所の確保支援:学内保育所を設置している大学や、近隣保育所の情報提供を行う大学もある

ただし、希望する部署に必ず戻れるわけではない点は注意が必要です。育休中に組織変更があったり、後任者が配置されたりした場合、別部署への配属となるケースもあります。この点は後の章で詳しく解説します。

実際に育休取得した職員の声

私が転職支援をした方の中から、実際に大学職員として育休を取得された方の声を紹介します。

Aさん(30代・私立大学・教務課)の例:
「前職は民間企業で、産休育休の取得実績がほとんどなく不安だったため、第一子出産前に大学職員に転職しました。1年間の育休を取得し、復職後は時短勤務(1日6時間)を利用しています。職場の女性職員の半数以上が育休経験者なので、相談しやすい環境です。ただ、復職後は希望していた入試課ではなく学生課に配属され、その点は少し残念でした。」

Bさん(30代・国立大学・人事か)の例:
「国立大学に転職後、第二子を出産しました。育休は1年半取得し、復職時には上司が『無理せずに』と声をかけてくれました。子どもの急な発熱で休むことも多いですが、お互い様という雰囲気があり、周囲の理解に助けられています。ただ、昇進試験は育休中は受けられないため、同期より昇格が遅れている点は気になっています。」

ワークライフバランスの実態

大学職員のワークライフバランスは、部署や時期によって大きく異なります。ここでは年間スケジュールや部署ごとの違いを具体的に解説します。

繁忙期と閑散期の働き方

大学は学年暦に合わせて業務量が変動するため、繁忙期と閑散期がはっきりしています。

繁忙期(残業が発生しやすい時期):

  • 4月:新入生対応、ガイダンス、履修登録サポート
  • 7月・1月:試験期間、成績処理
  • 2月〜3月:入試業務(入試広報課・入試課は特に多忙)
  • 9月:後期の準備、オープンキャンパス

閑散期(定時退勤しやすい時期):

  • 8月:夏季休暇期間で学生が少ない
  • 10月〜12月:前期の成績処理が終わり、後期が安定稼働する時期
  • 2月中旬〜3月中旬:入試が終わり、卒業式までの間(入試関連部署以外)

私の勤務先では、8月は計画年休の取得を推奨しており、多くの職員が1週間程度の連続休暇を取得しています。繁忙期の残業と閑散期の早期退勤でバランスを取る働き方が一般的です。

リモートワークの導入状況

新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、大学職員のリモートワークは急速に進みました。現在の導入状況は大学によって差があります。

  • 国立大学:週1〜2日のリモートワークを認める大学がある。ただし窓口業務がある部署は出勤が基本
  • 大規模私立:フレックスタイム制とリモートワークを組み合わせた柔軟な勤務形態を導入している大学がある
  • 中小私立:対面業務を重視する文化が強く、リモートワークはほとんど実施していない大学もある

リモートワーク可能な業務の例:

  • 事務処理(稟議書作成、データ入力)
  • 会議への参加(オンライン会議システムを活用)
  • 企画立案業務
  • 広報物の作成

子育て中の女性職員にとって、リモートワークは大きなメリットです。私が面接官として採用した方の中には、「リモートワークができることが転職の決め手だった」という方もいました。ただし、学生対応がある部署ではリモートワークの頻度が低くなるため、転職前に確認が必要です。

部署による違い

大学職員の働き方は配属部署によって大きく異なります。以下、主要部署の特徴を紹介します。

入試広報課・入試課:

  • 繁忙期(12月〜3月)の残業が多い
  • 土日のオープンキャンパス対応あり
  • 出張(高校訪問)が多い
  • 育児中の女性には負担が大きい場合がある

学生課・教務課:

  • 窓口業務が多く、定時退勤しやすい
  • 学生対応が中心で、急な業務は少ない
  • リモートワークはしにくい
  • 育児中の女性に比較的向いている

総務課・人事課:

  • 事務処理が中心で、年間を通じて業務量が安定
  • リモートワークがしやすい
  • 会議が多く、スケジュール調整が必要
  • ワークライフバランスは取りやすい

研究支援課・産学連携課:

  • 教員対応が多く、スケジュールが読みにくい
  • 専門知識が求められる
  • やりがいは大きいが、業務負担もやや重い

転職時には「どの部署に配属されるか」を必ず確認しましょう。面接で希望部署を伝えることは可能ですが、必ずしも希望が通るとは限りません。

相談実績から見た満足度

私が転職支援をした女性の中で、大学職員として働き始めた方々の満足度は概ね高いです。特に以下の点が評価されています。

  • 「前職と比べて圧倒的に残業が少ない」(元営業職・30代)
  • 「有休が取りやすく、子どもの学校行事に参加できる」(元事務職・30代)
  • 「育休復職後も周囲の理解があり、働きやすい」(元公務員・30代)

一方で、不満の声として多いのは以下です。

  • 「給与の伸びが緩やかで、年収アップは期待できない」
  • 「昇進が遅く、キャリアアップ意欲が満たされない」
  • 「部署によって業務量の差が大きい」

転職後の満足度は、何を優先するかによって変わります。ワークライフバランス重視なら満足度は高い一方、キャリアアップや高年収を求める場合は物足りなさを感じるかもしれません。

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女性管理職とキャリア形成の現実

大学職員の世界では、女性管理職の比率は徐々に上がっているものの、民間企業と比べて昇進スピードが遅いのが実情です。ここではキャリア形成の現実を率直にお伝えします。

女性管理職比率の実態

大学職員における女性管理職の比率は約20〜25%程度とされており、男性よりも低いのが実態です。私の大学も出このようなイメージになっています。これは民間企業の女性管理職比率(課長相当職で12.7%)よりは高いものの、女性職員の割合(約50%)を考えると低い水準と言えます。

国立大学:女性管理職比率は約15〜20%。公務員に準じた昇進制度のため、年功序列的な要素が強い

私立大学:大学によって差が大きい。進歩的な大学では30%を超えるケースもあるが、10%未満の大学も存在

私が勤務する大学では、課長職以上の女性比率は約22%です。ここ10年で徐々に増加していますが、部長職以上になると1人いるかいないかになります。

昇進・昇格の仕組み

大学職員の昇進は、年功序列と能力主義の混合型です。民間企業のような完全実力主義ではなく、勤続年数が重視される傾向があります。

一般的な昇進モデル:

  • 入職〜5年:一般職員(主任クラスまで)
  • 5〜10年:係長・主査クラス
  • 10〜15年:課長補佐クラス
  • 15〜20年:課長クラス
  • 20年以上:部長クラス

昇進試験を実施している大学もありますが、試験に合格してもすぐに昇進するわけではなく、ポストの空きを待つ必要があります。これが昇進の遅さにつながっています。

出産育児がキャリアに与える影響

ここは正直にお伝えします。出産育児は、昇進スピードに影響を与えるケースがあります

マイナス影響の例:

  • 育休中は昇進試験を受けられない(受験資格が在職中に限られる)
  • 時短勤務中は管理職試験の対象外となる大学がある
  • 復職後に以前と異なる部署に配属され、専門性の継続が難しい
  • 育児中は業務負担の軽い部署に配属され、キャリア形成の機会が減る

私が面接官として見てきた中でも、出産育児を経てキャリアアップを目指す女性職員は、同期の男性職員より昇進が2〜3年遅れるケースが多いです。

ただし、これは「出産育児をしたらキャリアアップできない」という意味ではありません。時短勤務終了後にキャリアを加速させ、管理職になる女性職員も確実に増えています。

キャリアアップを目指す場合の戦略

出産育児とキャリアアップを両立させるためには、戦略的な動きが必要です。面接官として、以下のような方を評価しています。

  • 専門性を磨く:特定分野(IR、留学生支援、研究支援など)のスペシャリストになる
  • 資格取得:社会保険労務士、キャリアコンサルタントなど、大学業務に活かせる資格
  • 学内プロジェクトへの参加:育休復帰後、積極的に改革プロジェクトに手を挙げる
  • 時短勤務の早期終了:可能であれば子どもが3歳になる前にフルタイム復帰
  • 上司とのコミュニケーション:キャリアアップの意思を明確に伝える

また、転職時にキャリアパスを確認することも重要です。面接で「女性管理職の比率」「育休後のキャリア形成事例」を質問することで、その大学の姿勢が見えてきます。

注意点・よくある誤解

大学職員への転職を検討する女性の中には、理想化しすぎている方も少なくありません。ここでは、よくある誤解と注意点を解説します。

「楽」は本当か

「大学職員は楽」という噂を聞いて転職を考える方がいますが、これは部署次第です。

確かに、閑散期の総務課や図書館などは定時退勤が当たり前で、業務負担は軽いと言えます。しかし、入試広報課や学生課の繁忙期は、それなりに忙しいです。

「楽」という期待だけで転職すると、配属先によってはギャップを感じる可能性があります。面接では「どの部署でも対応できるか」を見られるため、「楽そうだから」という志望動機は避けましょう。

すべての大学が同じではない

大学職員と一口に言っても、国立・私立、大学規模によって働き方は大きく異なります

  • 国立大学:制度は充実しているが、給与は私立より低め。安定性重視の方に向く
  • 大規模私立:給与・福利厚生ともに充実。競争率が高く、転職難易度も高い
  • 中小私立:アットホームな雰囲気だが、制度面で劣る場合も。経営状況の確認が必要

転職活動では、複数の大学を比較することをおすすめします。1つの大学だけで判断すると、後悔する可能性があります。

育休復帰後の配属先

育休から復帰する際、元の部署に戻れるとは限りません。これは転職相談で最も多い不満の1つです。

配属先が変わる理由:

  • 育休中に組織再編があった
  • 後任者が既に配置されている
  • 時短勤務に対応しやすい部署に配置される
  • 大学側の人員配置の都合

私が支援した方の中には、入試課から学生課に異動になり、「専門性が途切れた」と感じた方もいました。この点は事前に上司と相談しておくことが重要ですが、確約はできないと考えておきましょう。

昇進スピードの遅さ

大学職員の昇進は、民間企業と比べて非常に遅いです。これは年功序列の要素が強いためです。

例えば、民間企業では30代前半で課長職に就くことも珍しくありませんが、大学職員では40代前半で課長職が一般的です。早い人でも30代後半です。

また、ポストに限りがあるため、能力があっても昇進できないケースもあります。これはモチベーション低下につながる可能性があります。

年収の伸びも緩やかです。私立大学の平均年収は30代で450〜550万円程度、40代で600〜700万円程度と言われています。民間企業の営業職などと比べると、大幅な年収アップは期待できません。

キャリアアップや高年収を重視する方は、大学職員以外の選択肢も検討した方が良いかもしれません。

▼大学職員転職・就職向けサポートサービスの紹介▼
スキルの販売サイト「ココナラ」では、大学職員を目指す方に向けて、大学職員のエントリーシート(ES)・応募書類作成にあたってのサポートや、面接試験対策のサポートなど、採用試験対策をサポートするための様々なサービスが提供されています。また、私自身も「大学職員の就職・転職を目指す方にアドバイスします」というサービスを提供し、これまでに50人以上の方のサポートをさせていただいております。様々なサービスがありますので、よりよいESを作成したい方や、面接対策をより深めたい方などは利用してみるとよいと思います。
<提供されている主なサービス>
大学職員の就職・転職を目指す方にアドバイスします(出品者:山田隆司)
大学職員応募のためのエントリー書類の添削をします(出品者:リフレクション工房さん)
大学職員のよくある質問100個と回答を提供します(出品者:0から始める大学職員さん)
私立大学職員の面接対策マニュアルを提供いたします(出品者:Christopher Wrightさん)
大学職員への就職をサポートします(出品者:akirahei@就活アドバイザーさん)
内定続々!大学職員への転職をサポートします(出品者:大学職員@教務課(大教さん)さん)
大学職員へのなり方、伝授します(出品者:キャリアコンサルタント コウさん)
勤務20年!国立大学 事務職員の本音教えます(出品者:ぱりっとさん)

転職成功のための実践アドバイス【面接官視点】

最後に、現役面接官の立場から、女性が大学職員への転職を成功させるための実践的なアドバイスをお伝えします。

面接で確認できること

面接は、大学の実態を知る貴重な機会です。以下のような質問をすることで働きやすさを判断しやすくなると思います。一方で、権利意識が高いと思われてしまうと、合格しにくくなってしまうので、どこまで聞くべきかはかなり難しいところがあります(新卒の方と30代で比較的早く産休育休を取得する可能性のある方では聞いても問題ない範囲が変わってきます)。

  • 「女性職員の育休取得率と復職率を教えてください」
  • 「育休後の配属先はどのように決まりますか?」
  • 「時短勤務の利用実績はどのくらいありますか?」
  • 「女性管理職の比率と、育児経験のある管理職はいますか?」
  • 「リモートワークの実施状況を教えてください」

これらの質問をすることで、大学の本気度が見えてきます。曖昧な回答しかできない場合は、制度はあっても実態が伴っていない可能性があります。

大学の働き方を見極める方法

面接だけでは分からない部分もあります。以下の方法で、大学の雰囲気を確認しましょう。

  • 大学HPの職員紹介ページをチェック:女性職員のインタビューがあるか、育休取得の話題があるか
  • 大学の採用ページを確認:「女性が活躍できる職場」とアピールしているか
  • 口コミサイトを参考にする:OpenWorkや転職会議で、女性職員の口コミを確認(ただし情報が古い場合もあるので参考程度に)
  • OB・OG訪問:可能であれば、実際に働いている女性職員に話を聞く

また、面接時に職場を見学させてもらうのも有効です。廊下ですれ違う職員の雰囲気、掲示物、オフィスの整理整頓具合などから、職場文化が読み取れます。

転職時期の選び方

女性が大学職員に転職する場合、ライフプランとの調整が重要です。

  • 出産前に転職する場合:入職後すぐに産休育休を取ると印象が悪い可能性があるため、最低1年は勤務してから妊娠を考える方が無難
  • 育児中に転職する場合:子どもが小学校に入学するタイミングが転職しやすい。時短勤務を前提とした転職も相談次第では可能
  • キャリアアップを目指す場合:20代後半〜30代前半での転職が理想。育休を経てもキャリア形成の時間が確保できる

面接官の立場から言うと、「長期的に働く意思」が最も重視されます。出産予定があることを隠す必要はありませんが、「この大学で長く働きたい」という意思を明確に伝えることが重要です。

応募書類・面接での伝え方

女性が大学職員に転職する際、面接官として評価するポイントは以下です。

応募書類(志望動機)で書くべきこと:

  • 長期就業の意思:「教育に貢献したい」「学生の成長を支えたい」など、大学職員としての使命感
  • 前職の経験:民間企業での経験が大学でどう活かせるかを具体的に
  • ワークライフバランスへの言及は慎重に:「働きやすいから」だけでは印象が悪い。「長く働ける環境で専門性を高めたい」など、前向きな表現に

面接で伝えるべきこと:

  • 「将来的に出産育児を考えているが、長期的にキャリアを築きたい」→ 正直に伝えた方が印象は良い
  • 「前職では〇〇の経験があり、大学の〇〇業務で活かせると考えています」→ 即戦力であることをアピール
  • 「学生の成長を支える仕事にやりがいを感じる」→ 教育への関心を示す

面接で避けるべき失言:

  • 「楽そうだから応募しました」→ 最悪の印象
  • 「すぐに産休育休を取りたいです」→ 長期就業意思が疑われる
  • 「前職が激務だったので、ゆっくり働きたい」→ 仕事への意欲が低いと判断される
  • 「給料はあまり気にしません」→ 自分を安売りしない

面接官は、「この人は本当に大学で長く働いてくれるか」を見ています。出産育児の計画があることは問題ではなく、それを含めて長期的に貢献する意思があるかどうかが重要です。

まとめ

女性が大学職員に転職するメリットは、産休育休の取得しやすさ、ワークライフバランスの良さ、長期就業しやすい環境など、確かに大きいものがあります。一方で、昇進の遅さ、給与の伸び悩み、配属先の希望が通らない可能性など、注意すべき点もあります。

転職を成功させるためには、以下の3つが重要です:

  1. 複数の大学を比較し、自分に合った環境を見極める:国立・私立、大学規模によって働き方は大きく異なるため、情報収集を徹底する
  2. 面接で育休取得率や女性管理職の実態を具体的に確認する:制度があっても使われていない大学もあるため、数字で確認する
  3. 長期就業の意思を明確に伝え、即戦力であることをアピールする:面接官が最も重視するポイントを押さえる

私は転職相談を通じて、満足度の高い転職を実現した女性を数多く見てきました。その共通点は、事前のリサーチと面接での確認を徹底していたことです。理想だけでなく現実も理解した上で転職を決断することで、後悔のないキャリア選択ができるでしょう。

大学職員への転職を検討している方は、当サイトの他の記事もぜひ参考にしてください。あなたの転職活動が成功することを心から応援しています。

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