大学職員になるには

大学職員採用の競争倍率は本当に高いのか~各大学の倍率から考える~

大学職員への就職・転職を目指す方にとっては、大学職員採用試験の倍率は気になるところだと思います。よく「大学職員の倍率は高い」と言われることもありますが、実際にどれくらいなのかを調べてみましたのでご紹介したいと思います。

はじめに

私が大学職員の採用試験を受験したときも、たしか競争倍率は50倍くらいあった記憶があります。その後、私の後輩が受験したときなどは、高いときだと80倍くらいになったこともあったようです。

まさか自分がこんな倍率で合格するとは思っていなかったのですが、個人的にも大学職員の競争倍率は結構高いと思っています。

それでは、大学全体としても競争倍率は高いのでしょうか。この記事では各大学がインターネットで公表しているデータをまとめて紹介してみたいと思います。実際に調べてみると、大学職員採用の競争倍率を公表している大学はあまりないので、数としてはあまり多くのないのですが全体の傾向の参考にはなるのかなと思います。

立教大学

まずは、立教大学です。立教大学は規模も大きいこともあり、例年6名~8名の採用を行っているようです。ただここ数年は採用者数も減っているようです。

応募者数は任期大学だけあってかなり多く、2011年度(平成23年度)は1,060人もいます。

そして一番大事な競争倍率ですが、一番低いときでも2013年度(平成25年度)の75.5倍です。一番高い年度では、2011年度(平成23年度)の176.7倍となっています。

ここ数年は応募者数を公開していないのですが、恐らくかなりの応募者がいるのではないかと思っています。

やはり人気大学ということもあってかなり倍率は高いですね。ちなみに、立教大学の採用者はかなりの割合で卒業生が採用されているようです。

<立教大学の採用倍率データ>

応募者数 合格者数 倍率 備考
平成22年度 667 8 83.4 うち卒業生4名
平成23年度 1,060 6 176.7 うち卒業生3名
平成24年度 508 6 84.7 うち卒業生5名
平成25年度 476 6 79.3 うち卒業生3名
平成26年度 660 7 94.3 うち卒業生4名
平成27年度 503 7 71.9 うち卒業生4名
平成28年度 774 4 193.5 うち卒業生2名
平成29年度 447 3 149.0 うち卒業生2名
平成30年度 不明 2 - うち卒業生2名
令和元年度 不明 4 - うち卒業生2名

関西大学

続いて、関西大学です。関西大学については、新卒採用と中途採用について調べることができました。

まずは、新卒採用についてですが、関西大学は採用数が12名~23名とかなり多いですね。また、関西大学でも卒業生をかなり多く採用しているようですね。

競争倍率については、2010年度(平成22年度)は14.5倍とかなり低いのですが、ここ5年くらいは30倍~40倍くらいとなっています。

次に、中途採用については少し古いデータのみとなってしまいますが、競争倍率については2011年度(平成23年度)に189.3倍とめちゃくちゃな数字になっています。ただ、中途採用についてはそこまで卒業生の割合が多くないようです。

2011年(平成23年)以外の競争倍率は、20倍~50倍と、他大学と同じような競争倍率となっているようです。

<関西大学の採用倍率データ>
★一般★

応募者数 合格者数 倍率 備考
平成22年度 334 23 14.5 うち卒業生19名
平成23年度 460 19 24.2 うち卒業生18名
平成24年度 499 18 27.7 うち卒業生17名
平成25年度 623 12 51.9 うち卒業生12名
平成26年度 389 12 32.4 うち卒業生10名
平成27年度 410 16 25.6 うち卒業生11名
平成28年度 493 16 30.8 うち卒業生15名
平成29年度 492 6 82.0 うち卒業生6名
平成30年度 776 18 43.1 うち卒業生15名
令和元年度 625 16 39.1 うち卒業生14名
令和2年度 535 17 31.5 うち卒業生16名
令和3年度 436 10 43.6 うち卒業生7名
令和4年度 714 23 31.0 うち卒業生17名
令和5年度 553 19 29.1 うち卒業生15名

★中途★

応募者数 合格者数 倍率 備考
平成19年度 249 7 35.6 うち卒業生2名
平成20年度 406 8 50.8 うち卒業生5名
平成21年度 291 14 20.8 うち卒業生7名
平成22年度 362 10 36.2 うち卒業生4名
平成23年度 568 3 189.3 うち卒業生2名

大阪府立大学

次は大阪府立大学です。大阪府立大学は、2014年(平成26年)のみのデータとなりますが、一般職員の採用、主査(係長)級の採用、課長補佐級の採用と、さまざまな採用試験のデータを確認することができました。

倍率は一般職員の採用で44.3倍、主査(係長)級の採用で38.5倍、課長補佐級の採用で16.3倍となっています。

課長補佐級の採用は、意外と競争倍率が低いように見えますが、恐らく受験の要件で、それなりの要件を課しているので、応募者が少なく、競争倍率も低かったのではないかと思われます。

<大阪府立大学の採用倍率データ>
★一般職員★

  応募者数 合格者数 倍率 備考
平成26年度 177 4 44.3

★主査(係長級)★

  応募者数 合格者数 倍率 備考
平成26年度 154 4 38.5

★課長補佐級★

応募者数 合格者数 倍率 備考
平成26年度 49 3 16.3

大阪公立大学

大阪公立大学は、大阪府立大学と大阪市立大学が統合した大学です。募集としては「大学卒業程度」となっており、年齢要件は30歳程度までとなっています。
(法人としての採用となるため、高等専門学校に配属される可能性があります。また、統合する大阪公立大学は2022年4月に開学予定です。)

2021年4月採用のみのデータとなりますが、倍率は14.5倍となっておりそこまで高くない印象です。

大阪公立大学の倍率データ

応募者数 合格者数 倍率 備考
2021年度 232 16 14.5

島根県立大学

続いて、島根県立大学です。島根県立大学は単年度の結果しか確認できませんでしたが、競争倍率は46.3倍となっています。

島根県でもこんなに倍率が高いとなると、やはり、全国的にそれなりに高いと思われますね。

<島根県立大学の採用倍率データ>

応募者数 合格者数 倍率 備考
平成26年度 139 3 46.3

京都市立芸術大学

続いて京都市立芸術大学です。

2015年(平成27年)には179倍にもなっていて、かなりの高倍率になっています。

ただし、近年はやや減少傾向にあるといえます。

<京都市立芸術大学の採用倍率データ>

応募者数 合格者数 倍率 備考
平成27年度 538 3 179.3
平成28年度 312 2 156.0
平成29年度 76 1 76.0

岡山大学

続いて岡山大学です。

岡山大学は約10年の実績を確認できましたが、かなり幅広い倍率となっており、5.6倍~116倍とすごいことになっています。これを見ると、受験する年度の運もありそうですね。

<岡山大学の採用倍率データ>

二次試験受験者 合格者数 倍率 備考
平成22年度 153 7 21.9
平成23年度 143 7 20.4
平成24年度 156 9 17.3
平成25年度 185 23 8.0
平成26年度 164 26 6.3
平成27年度 89 6 14.8
平成28年度 39 7 5.6
平成29年度 121 6 20.2
平成30年度 116 1 116.0
令和元年度 76 2 38.0
令和2年度 93 2 46.5
令和3年度 112 9 12.4
令和4年度 184 10 18.4

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名古屋市立大学

名古屋市立大学は、「新卒・第二新卒」と「経験者」という区分でそれぞれ採用試験を実施しています。

倍率としては新卒・第二新卒のほうが低く11.1倍、経験者が26.3倍となっています。

<名古屋市立大学の採用倍率データ>
新卒・第二新卒

申込者 合格者数 倍率 備考
2020年度 78 7 11.1

経験者

申込者 合格者数 倍率 備考
2020年度 184 7 26.3

山口県立大学

最後は山口県立大学です。

山口県立大学は、10倍~36倍となっています。ただ、グローバル採用の年度については、応募者が少なく2倍となっています。

もしかしたら応募要件が厳しかったのかもしれませんが、専門職の募集のほうがやはり応募者は少なくなる傾向があるんだと思います。

<山口県立大学の採用倍率データ>

  申込者 合格者数 倍率 備考
2015年度 36 1 36.0
2016年度 2 1 2.0 グローバル採用
2017年度 42 3 14.0
2018年度 20 2 10.0
2019年度 29 3 9.7
2020年度 52 3 17.3

大学職員採用試験の競争倍率まとめ

以上をまとめると、やはり大学職員採用の競争倍率はそれなりに高いと言えそうですが、中には10倍程度の大学もあるといった状況です。

ただ、私自身もいつくかの大学を受験しましたが、受験者の中には明らかに「落ちるだろう」という人もたくさん受験しているので、チャンスがないわけではないと思います。

大学職員は、「安定」、「楽」、「給料高い」というイメージがあることもあり、個人的にはそれなりに多くの「落ちるだろう」という人がいるような気がします。

仮に、半分くらいの受験者が明らかに「落ちるだろう」という人であれば、50倍の競争倍率も実質的には25倍になるし、30倍の競争倍率も実質的には15倍になりますので、実質的には発表されている数字ほどの厳しさはないと思っています。

なので、単に競争倍率だけを見てあきらめるのではなく、ぜひ色々な大学に受験して、採用を勝ち取っていただければと思います。

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