大学職員採用試験では書類選考で不合格になってしまうことがそれなりにあるため、「なぜ不合格になるのか」と疑問に思ってやる気をなくしてしまう人もいると思います。そこでこの記事では、大学職員採用試験ではどのように書類選考を実施しているのか、倍率・合格率はどの程度なのかについて私なりの考えをお伝えします。
大学職員採用試験の書類選考で不合格になることはよくある
私は大学職員を目指す方からの就職・転職相談を行っており、その中でエントリーシートや志望理由書、自己PR書等の応募書類の添削や作成にあたってアドバイスなどを行っています。
ご相談を受けている中で、これまでの書類選考の倍率や実際に私が添削した応募書類の書類選考の結果をご報告いただいているのですが、最終的に内定を勝ち取る人であっても書類選考で不合格となった経験を持っている人は非常に多いです。
これは大学職員採用試験の書類選考の実施方法の影響もあるかもしれませんし、応募書類の内容に問題があるのかもしれません。
ただ、実態としては最終的に大学職員の内定を勝ち取った人が、A大学とB大学でエントリーシートに同じような内容を記載したとしても、A大学で最終面接まで突破して合格することもあれば、B大学では書類選考の段階で不合格となってしまうということもあります。
このため、まずは「大学職員採用試験の書類選考で不合格になることはよくある」ということを理解していただき、不合格になったとしてもめげずにチャレンジし続けることが大事であるということを知っていただければと思います。
大学職員採用試験の書類選考の実施方法
大学職員採用試験の書類選考の実施方法については、各大学が公開しているわけではないのでなかなか正しい情報を知ることは難しいのが現状です。ただ、私自身の経験や他大学で採用試験に関わった方から情報提供いただいた内容、実際に大学職員採用試験の書類選考を受けた方からご報告いただいた内容から大きく3つのパターンに分けられると考えています。
大学職員採用試験の書類選考の3つのパターン
私が考えている大学職員採用試験の書類選考の3つのパターンは、
①応募要件を形式的に満たしてさえいれば合格とする大学(その後の筆記試験等で足切りをする大学)
②大学で何らかの基準(学歴や職歴)を設けていてそれに合致しないと一律で不合格とする大学
③しっかりと書類選考を行う大学
があると考えています。
その中で、特に人気の大学の場合は、応募者数がかなり多くなるため、応募書類を読み込んで採点するような時間もとれないことや、実際にエントリーシートを採点すること自体も簡単ではない(多くの人が同じような能力を持っているとアピールしたり、同じような業務をしたいと記載するのであまり差が出ない)ことから、①か②になる可能性が高いと考えています。
書類選考の段階では内容を見ていないこともある
上記で紹介した①と②については、①では形式面が整っているかどうか、②では大学が求める学歴や職歴を満たしているかどうかしか見ないことになるため、基本的には書類選考の段階では内容の詳細については見ていないことになります。
ただ、このような場合も、面接試験では面接官がしっかりと読み込みますし、面接試験で回答をする際にはエントリーシート等の応募書類に書いたことを前提に説明する必要があるので、適当に書いてもよいということではないことも理解しておきましょう。
また、逆に言うと、エントリーシート等の内容が悪くても書類選考を合格・通過してしまうこともあるので、1つの大学で書類選考が合格・通過したからといって、エントリーシート等の内容がよいかというとそうでもない可能性もあります。
「書類選考不合格=応募書類の内容が悪い」ではない
上記でお伝えしたとおり、大学職員採用試験の書類選考については、応募書類の内容以外の経歴的な部分で選考されるケースもあります。
このため、書類選考が不合格になったからと言って、必ずしも応募書類に記載した内容が悪かったかというと、そうではない場合もあります。
ただ、応募者側からすると、応募書類の内容で不合格となったのか、その他の経歴的な部分で不合格になったかはわかりません。
そうすると、どうしても応募書類の内容が悪いと考えて何度も書き直そうとしてしまい、結果的に何を書いてよいかわからなくなってしまったり、もともとよかった内容が逆に悪くなってしまうということになってしまうこともあります。
このため、必ずしも「書類選考不合格=応募書類の内容が悪い」とは限らないということは知っておくとよいでしょう。
エントリーシート等の応募書類のブラッシュアップについて
エントリーシート等の応募書類をどこまで作り込むかは難しいところがありますが、個人的には、ある程度ご自身で納得のいくものができているのであればそれでよいと思っています。
ある程度の力を入れて作り込んだものを変えたとしても書類選考の倍率・合格率はそこまで変わらないと考えているため、どちらかというとできるだけ多くの大学に応募することや書類選考を合格・通過した大学の試験対策に力を注いだほうがよいと思っています。
ただ、客観的に何人かの方に見ていただき、自分自身がよりよい印象を与えられると感じた内容があれば少しずつブラッシュアップしていくのはよいと思います。
応募書類の添削については、「原則的な記載しないほうがよいこと」や「主語と述語の使い方等の文章の書き方」などについては、ある程度誰が見ても共通して指摘ができますが、内容的な部分については、見る人が変われば、指摘する箇所が変わることが多いです。
また、大学の採用側も各大学の担当者によって、魅力的であると感じる内容は少しずつ異なったりもするので、最後はご自身で納得いくものを提出できるようにするのがよいと思っています。
▼(会員限定)大学職員就職・転職対策サイトのご紹介▼
姉妹サイトの「大学職員就職・転職対策サイト」では、実際に応募した方のES作成例や面接試験で実際に出された質問など、一般では公開しにくい大学職員採用試験の生の情報を人数限定でお伝えしています。登録者が増えた場合は会員登録ができなくなりますので、ライバルに少しでも差をつけたいという方はお早めにご覧ください。
<よく見られる記事>
★大学職員志望動機・志望理由実例集
★大学職員ES項目別作成例集
★大学別面接試験で実際に出された質問(50大学以上)
★【100以上の面接試験を集計】面接試験で実際に出された質問TOP18
★【全12大学】最終面接で実際に出された質問まとめ
★応募する大学が抱える課題や弱みを確認する方法
★【全15個】テーマ別小論文作成例
★テーマ別グループディスカッション対策
★大学職員採用試験を受ける前に知っておくべきデータ66
大学職員採用試験の書類選考の倍率・合格率
大学職員採用試験の書類選考で不合格になることはよくあることをご説明しましたが、では実際にどれくらいの倍率・合格率なのかを知りたいという人もいると思います。
大学によっては、受験者数と最終的な合格者数については公表していることもありますが、書類選考単独の倍率・合格率を公表している大学はほとんどないのが現状です。
そこでこの記事では、2つの視点の倍率・合格率を紹介したいと思います。1つ目は大学職員採用試験に実際に応募した人が、その人個人でどれらくいの合格率だったのか、2つ目はいくつか大学の書類選考の倍率・合格率です。
2つ目はいくつか大学の書類選考の倍率・合格率については、大学によっては書類選考を通過し、次の試験を実施する際に、受験者に対して「〇名応募し〇名が書類選考を通過した」と試験前のガイダンスの際に報告することがあります。
そのような場で報告があった際に情報提供いただいたものがいくつかあるので、その倍率・合格率を紹介したいと思います。
大学職員採用試験を受けた人のその人個人の合格率
私にご相談いただいている方については、1つの大学しか受けていない人もいれば、私にご相談いただく前と私にご相談いただいた後を合計して30以上の大学を受けている人もいます。
その中でだいたいの平均を取ると、その人個人の合格率はだいたい30%程度かなという印象です。その中には10%~20%程度の方もいれば、かなり偏差値の高い3つの大学のみにしか応募していないのに、3つとも合格して合格率が100%という人もいます。
最初は合格率が悪くても、応募書類のレベルがだんだんと上がることで、その後の合格率が上がっていくことも考えられますが、私にご相談いただいた時点(私の添削前)の情報を見てみるとこのくらいの数字になります。
また、もう少し細かく見ていくと、職歴にブランクがあったり、正社員以外の職歴が多い人のほうが合格率が下がったり、学歴がよい人のほうが合格率は高いような印象があります。
このように大学職員採用試験のその人個人の合格率はそれほど高くないということは知っておいていただければと思います。
各大学の倍率・合格率
各大学の書類選考の倍率・合格率については、上記の「大学職員採用試験の書類選考の実施方法」で紹介した「応募要件を形式的に満たしてさえいれば合格とする大学」であればかなり合格率は100%に近くなり、書類選考の後にすぐに個人面接を実施するような大学だと書類選考の合格率は低く(倍率は高く)なると考えられます。
このため、大学の書類選考実施方法によってもかなり変わってくることになります。
そのような中で大学の採用ページに紹介されているものと、これまでに情報提供いただいた2つの大学の書類選考の倍率・合格率については、
・山口県立大学(大学のホームページで公表)
⇒応募者52名で書類選考合格者51名(倍率約1.02倍・合格率98%)
・都内私立大学
⇒応募者約500名で書類選考通過者245名(倍率2.04倍・合格率49%)
・地方理系大学
⇒応募者188名で書類選考合格者22名(倍率9.4倍・合格率11.7%)
・都内医療系単科大学
⇒応募者約900名で書類選考通過者40名(倍率22.5倍・合格率4.5%)
・地方女子大学
⇒応募者約260名で書類選考合格者33名(倍率7.8倍・合格率12.7%)
という状況です。
山口県立大学については、恐らく書類選考では受験を要件を満たしているかどうかのみを見ているのだと思います。
次の都内私立大学は、書類選考の段階でだいたい半分までに絞っている感じですが、このくらいの倍率・合格率だと、それなりに書類選考通過をすることができると思います。
残りの3つの大学については、かなり書類選考の段階で絞っている大学だと考えられます。このような大学では書類選考を合格・通過することはなかなか難しいということがわかります。
このため、書類選考で不合格になったとしてもすぐに頭を切り替えて、次にチャレンジしていくことが大事だと思います。
⇒大学職員採用試験の最終面接の倍率・合格率についてはこちらの記事「大学職員採用試験の最終面接で準備することや気を付けること」で紹介しています。
過去に応募した大学に再度応募したら書類選考で落ちるのか
ときどき「過去に応募した大学に再度応募したら書類選考で落ちるのか」という質問を受けることがあるので、私なりの考えを紹介したいと思います。
まず、募集要項や求人票に「過去〇年以内に応募された方の応募はご遠慮ください」などと記載されているケースがあります。このような場合は、基本的に不合格となりますし、仮に大学側が気が付かないまま選考が進んで内定を獲得したとしても、余計な不安を抱えることになるので応募しないようにしましょう。
それ以外のケースで言うと、同じ大学に再度応募して書類選考を通過したケースはあります。
その方は、前年度に書類選考で不合格になった大学に再度応募したのですが、書類選考を通過し、最終面接まで進むことができました。残念ながらその大学で内定を獲得するところまではいかなかったのですが、2回目の応募で書類選考を通過することができました。
また、別の方は、前年度に面接試験まで進み、翌年度の採用試験に再チャレンジしたのですが、その方も書類選考を通過することができていました。
このような事例もあるので、応募条件に合致しているのであれば、再度チャレンジしてみるのもよいと思います。
姉妹サイトの「【会員限定】大学職員への就職・転職対策サイト」では、大学職員の採用試験を実際に受けた方にご協力いただき、面接試験で実際に出された質問などを紹介しています。実際にされた質問になるので、面接試験対策をする際にも参考になると思います。会員限定となりますが、よろしければこちらのサイトもご活用ください。
→「大学職員採用試験で実際に出された面接試験での質問や筆記試験の内容(大学職員への就職・転職サイト)」はこちら
2024年10月時点では、以下の大学の情報を掲載しています。
秋田公立美術大学、大妻女子大学、追手門学院大学、桜美林大学、香川大学、学習院大学、神奈川大学、関西大学、関西学院大学、神田外語大学、北九州市立大学、九州工業大学、共愛学園前橋国際大学、京都光華女子大学、金城学院大学、慶應義塾大学、高知大学、国際基督教大学、国士館大学、滋賀県立大学、実践女子大学、淑徳大学、順天堂大学、常翔学園(大阪工業大学・摂南大学・広島国際大学)、上智大学、成蹊大学、成城大学、西南学院大学、玉川大学、多摩美術大学、千葉大学、中央学院大学、津田塾大学、東京医科大学、東京造形大学、東京電機大学、豊田工業大学、名古屋市立大学、福岡教育大学、福岡工業大学、福岡女子大学、藤田医科大学、星薬科大学、武蔵大学、武蔵野大学、明海大学、明治薬科大学、名城大学、ものつくり大学、山口県立大学、横浜市立大学、立命館大学、琉球大学、早稲田大学
同じ大学に再チャレンジする際に応募書類の内容を大幅に変えてもよいか
以前に同じ大学に再チャレンジする方から「応募書類の内容を大幅に変えても問題ないですか」という趣旨のご質問をいただいたことがありましたので、こちらも私の考えを紹介したいと思います。
<質問>
昨年に面接試験まで進んで不合格となった〇〇大学に再チャレンジしようと思っているのですが、志望動機の記載について悩んでいます。志望動機の軸は変えないほうがよいでしょうか。それとも大きく変えてしまっても問題ないでしょうか。
<私の回答>
難しいところではありますが、個人的には変えないほうがよいと思います。
理由は2点ありまして、1点目は、面接試験で昨年と同じ面接官と当たった場合や昨年度の書類を確認された場合、志望動機の軸が変わっていると昨年との整合性がとれなくなり、「志望動機は本音ではなく作っている」という印象を与えてしまうリスクがあるからです。
2点目は、最終的な評価をする際は、志望動機の良さというよりは、結局はこれまでの業務経験や人柄などを踏まえて、「大学で活躍できそうか」とか「教職員等とうまく関係を築けそうか」というような観点を重視して評価すると思うからです。
そうすると、変に志望動機を変えたところで、あまり大きな影響はないため、変なリスクを背負うよりは、軸は変えないほうがよいと思います。
ただ、その後、「○○の経験から志望度が高まった」など、志望動機の内容の本質を変えない形でアレンジするのはよいと思います。