大学職員コラム

大学職員コラム「大学職員の仕事上の大変さや辛さとは」

大学職員の仕事は一般的に楽だと思われがちなのですが、そこはちょっと置いておいて、逆に、大学職員の仕事上の大変さや辛さとは何かについて考えてみることにしました。
私はこれまで6つの部署に配属され、割と幅広い仕事を経験してきましたが、その中から感じたことについてお伝えしたいと思います。

様々な大学改革が求めらる時代になってきた

最近の多くの大学では、少子化の影響や社会の変化(グローバル化等)などから、大学業界で生き残っていくために、大学自身の魅力を高めるための様々な改革を進めていっています。

これは、自分の大学の魅力を高めて、受験生から選ばれる大学になるための努力をしているということになります。

どんな改革をしているかというと、例えば、教育の質を高めるための取組(アクティブ・ラーニングの導入やe-leaningシステムの導入)だったり、英語の授業を増やしたり、学生の就職支援のためのイベントを増やしたり、地域貢献のための取組を進めるなど、例を上げればきりがないくらいです。

このような、自分達の組織が生き残っていくための新しい仕事というのは、一般企業でも常に行われていると思うので、どんな業界でも同じなのだろうと思います。

ただし、大学の場合は、一般の企業と異なるところとして、組織の構成員に特色があると思っています。

大学の組織には民間企業とは異なる特殊性がある

一般企業の場合は、組織の構成員はもちろん社員になりますが、大学の構成員は、教員と職員という少し性質の異なる2種類の構成員で構成されています。

そして、教員の中には、大学経営には全く興味がなく、新しい取組を進めようとすると、それについて断固反対するという人たちもそれなりにいたりします。

これは、新しい取組を進めることになると、先生方の負担が増えることが多く、そうなると自分の研究に費やす時間が少なってなってしまうことが主な理由とされています(もちろん単に反対する人も多いですが)。

また、職員についても、大学の魅力を高めるために新しい取組を行うということは、単純に自分の仕事の量が増えることになるため、新しい取組を行うことに徹底的に抵抗する人が同じようにそれなりにいます(こちらは単純にやる気がない人が多いですが)。

もちろん、どんな組織であってもすべての構成員が賛成するということはあまりなくて、反発する人も少なからずいると思うのですが、大学の場合はそういった人たちの割合が多いように思います。

大学の長である学長と民間企業の社長の違い

また、恐らく、一般企業の場合は、上層部が「これをやる」と決定した場合は、どんなに社員が納得しなくても、決定したことは必ず前に進んでいくと思います。

しかし、大学の場合は、学長が「これをやりたい」と思ったり、事務側の部長が「これをしたい」考えたとしても、まずは、現場の職員が受け入れられるかを探ったり、先生方に協力してもらえるよう説得するところから始まります。

特に、大学で進める改革の多くは、先生方に協力してもらわないと進められないことが多く、この先生の説得がすごく大変だと思っています。

私も、最初の頃は、そもそも、同じ組織の人間で、これからよりよい組織にしていこうという取組を進めるのに、なぜ反対したり、抵抗したりする人がいるのかと不思議だったのですが、今では、それが大学の組織上の特色なのだと理解しています。

反対したり、抵抗したりする多くの人は、「大学はつぶれるわけがない」と思っていたり、「つぶれたとしても自分はそんなに困らない」と思っているので、なかなか簡単に納得してもらえないし、大学のシステムとして強硬して新しい取組を進めることができないようになっています(少なくても今のところは(実態としては)、すべての先生で構成される「教授会」という会議で了承をしてもらわないといけない状況にあります)。

大学改革を進めるには職員の力が必要

このように私が考える大学職員の仕事上の大変さや辛さとは、新しいことを進めるときに「様々な説得」が必要になるところです。

このため、職員には、周りの職員や教員を説得できるコミュニケーション力がすごく重要であり、職員にはそれが求められるようになると思っています(簡単にコミュニケーション力」とくくっていいのかはわかりませんが)。

職員や先生を説明・説得するときは、自分で直接、説明・説得するときもありますが、自分ではできない場合のほうが多いです。

例えば、A学部の先生を説得する場合は、A学部の学部長に説得してもらわないといけない場合があります。

その場合も、役職的に自分でA学部長に直接説明することができなかったりするので、自分の上司が説明をすることになります。

そうなると、自分の上司が前向きでなかったり、A学部長が前向きでなかったりすると、そもそも最終目標の先生を説得することは難しくなります。

さらに、多くの場合は、担当の先生から「教授会」という会議の場で、すべての先生方に説明をしてもらうのですが、そこで反対されてしまうと、そこで取組がストップしてしまうことになります。

もちろん、すべての取組がこのようなややこしい手続きを経るわけではないのですが、このようなパターンもあるということを知っておくとよいと思います。

ここまで述べたように、大学では、何か新しい取組を始めるときに、なぜか同じ組織の構成員を説得することが大変というのが、大学職員の仕事上の大変なことというか、辛いところだと思っています。

恐らく、多くの大学でこのような問題があるので、こういったことにも粘り強く前向きに取り組んでいける人が大学職員に求められているのだと思います。

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