今回は、関西にある私立大学職員への転職を目指すIさんからの相談事例の紹介です。
Iさんは、SEとしての経験があることから、大学のシステム部門の専門職への転職を目指していました。
Iさんからは、転職の理由や志望動機など、転職全般についてご相談がありました。
エントリーシート全体について
いただいた書類を確認させていただきました。各項目に対して5行程度しか書けないため、内容をまとめるのが大変だったと思います。
記載する文量が限られている場合、書類だけで強い印象を残すことは難しいため、無理に目立とうとせず、どちらかというと一般的な内容にしたほうがよいと考えております。
これは、文量が少ない場合、採用側としては書類だけでは合否の判断がしにくいため、悪い意味で目立つ書類以外は書類審査を通す傾向があると考えられるためです。
そのような意味では、相談者さんが記載している内容は、大学が求める人材像に沿って記載されており、悪い意味で目立つ記載内容でもないため、全体としてよい内容だと感じました。
また、相談者さんのこれまでの職務経歴も、職業の切れ目がなく、かなり綺麗な経歴であるので、そういった意味でも無理に主張し過ぎるような記載にする必要はないと思います。
(経歴に無職の期間が多いなどあまりキレイでない場合は、あえて目立つように書かないと書類審査に通りにくいと考えていますが、相談者さんの場合はそれには該当しません)。
そのうえで、各項目について、気になった点についてコメントさせていただきますのでご検討いただければと思います。
転職の理由について
相談者さんのエントリーシートを確認すると、「マネジメント」に多く携わっており、「マネジメント力」があることが記載されています。
現在の大学の求める人材像として、「マネジメントができる人材」は多くの大学で掲げられており、特に、中途採用の場合は、その傾向が強いです。
このため、各項目の説明の中に、経験に基づいたマネジメント力について記載できる経歴を持っていることは、大学側によい印象を与えることができるため、非常によい記載になっていると思います。
一方で、相談者さんの「転職の理由」を確認すると、「チームで動く仕事が少なかった」や「チームで改革していくような仕事をしたいと思った」などという記載があります。
この記載だと、「あまり大きなプロジェクトをやってこなかった」という印象や「マネジメントや改革の経験があまりなかった」という印象を与えてしまいます。
このため、他の項目に記載されている「マネジメント力がる」という記載が、やや弱い印象になってしまったり、エントリーシート全体として、マネジメント力やマネジメント経験があるのかないのかわかりにくいものと捉えられてしまう可能性がございます。
仮に、「チームで動くような仕事が少なかった」や「チームで改革していくような仕事をしたいと思った」ということが事実だとしても、あえてこの内容を転職の理由の中に記載するメリットはないと思います。
転職の理由は、多くの人が本音の部分(働きやすさ・給料等)を正直に書けないため、文書としてまとめるのは難しい部分もありますが、可能であれば、「転職の理由」と他の項目の中にある記載に齟齬がないような内容に修正したほうがよいと思います。
なお、一般的な転職理由や考えられる転職理由の例を以下にいくつかお示ししますので、修正の参考にしていただければと思います。
転職理由例①
これまでに部下や後輩への指導・教育を行う中で、教育や人材育成に携わる仕事に就きたいと考えていた。今回の求人を拝見し、自分自身の能力を活かしつつ、教育や若者の人材育成の場に携われると思い、転職をしたいと考えた。
転職理由例②
大学時代に自分自身を大きく成長させてくれた大学に、いつかは恩返しをしたいと考えていた。そのような中、今回の求人を拝見し、これからさらに発展や改革が求められる大学業界で、自分自身のスキルを活かしつつ、学生の成長の場に携わっていきたいと考え、転職を決意した。
転職理由例③
同じ業界で10数年働いてきた中、これまでとは異なる業界で自分の能力を活かしてみたいと考えていた。今回の「システム専門職」の求人であれば、自分の能力を活かしつつ、新たな業界に挑戦できると思い、転職をしたいと考えた。
転職理由例④
大学など教育機関における情報漏洩等のトラブルのニュースを見る機会があり、大学によってはシステム環境が整備されていないと感じていた。そのような中、今回の求人を拝見し、大学の中でも自分自身のスキルやこれまでの職務経験を活かすことができると考え、転職に挑戦したいと思った。
志望動機・理由について
「貴学」という記載ですが、受験を予定している学校法人では複数の大学での勤務が想定されていると思われます。
仮に、今回の募集が、卒業した大学での勤務のみを想定している募集であれば特に修正する必要はありませんが、複数の大学での勤務が想定されている場合は、「○○大学」としっかりと大学名を記載したほうがよいと思います。
仮に文章を修正するとしたら、「私は○○大学で4年間の大学生活を過ごし、母校に○○○○。」というような形が考えられます。この点について、必要に応じて検討していただければと思います。
また、「大学の魅力を広める」との記載がございますが、この記載は「大学の広報をやっていきたい」との趣旨に読み取れます。
今回は「情報システム」の専門職としての応募になりますので、情報システム部門の職員としてできる大学の広報を想定しているのであれば修正する必要はありませんが、面接で「どのようなことが考えられるか」という質問に対して回答が難しいようであれば、別の記載にすることも検討してもよいと思います。
例えば、「学生にとっての学びやすい環境整備やセキュリティレベルの高いシステム環境の構築などを進めることで」などとすることも可能だと思います。
その他の参考情報
現在の大学では、情報系のトラブルが増えており、以下のような事例が多くの大学で発生しています。
・ 教職員の認識不足による個人情報の漏洩
・ 不正アクセスによる情報漏洩
・ SNS等への不適切な投稿
(参考URL)
※ここでは省略
これらの事例は、人的ミスの面とシステム的な面がありますが、前者についてはトラブル事例の共有等の研修を継続的にやっていくことなどが必要になり、後者については、専門的な視点から、システム環境の整備が必要になります。
特に、後者については、セキュリティを高めれば利便性が損なわれることになり、そのバランスが難しいこと、利便性が悪くなる変更は先生方の抵抗が強いことから、大学の現場ではなかなかうまく進めることができていないのが現状です。
このため、大学としては優秀なシステム系人材を求めていますので、ぜひ合格を目指して取り組んでいただければと思います。
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