大学職員の採用試験に合格するためには、仕事理解や業界研究を行う必要があります。そこで、現役大学職員である管理人が大学職員の「情報システムの仕事」について解説します。

はじめに

大学職員を目指す人の中にはSEの経験があり、大学の情報システム系の部署で働きたいと考えている人もいます。また、一般の事務職を希望する方であっても、システム系の仕事経験があるような人は、面接の場で大学のシステム系の部署で貢献できることなどについて質問されることもあります。

このため、これまでに情報システム系の業務経験がある人は、仮に自分自身が情報システム系の部署を希望しなかったとしても、大学の情報システム系の仕事は理解しておいたほうがよいです。

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情報システム系の主な仕事

大学における情報システムの仕事は、一般の事務職員が担う仕事もあれば、システム系の専門職の方や、委託スタッフが担う仕事など様々なものがあります。

このような役割分担については大学によって異なるので一概には言えないのですが、全体的にどのような業務があるかについては理解をしておくといと思います。

ここからは大学の情報システム系の主な仕事を紹介します。

大学の情報ネットワーク・システム環境の維持・管理

大学全体の情報ネットワーク・システム環境の維持・管理となります。教員、職員、学生など、様々な構成員がメールをはじめとするシステム等を利用するため、それぞれが利用しやすいように維持・管理を行います。

大学の構成員以外にも他大学の教員や講師が来た際に、ゲストとしてネットワークを利用したりするのでそれへの対応をしたりもします。

また、各研究室や事務室、大学の施設内の情報機器(パソコン・プリンター・サーバ・wifi等)等の設置・管理なども行います。その他に、これらの様々な情報機器の契約手続きなども行ったりします。

システムに関する申請手続き対応

メールアドレスの追加発行、ウェブサイトの新規開設対応、共有サーバの構築、VPNの設定など、システムに関する様々な手続きへの対応を行う必要があります。

システム系に不慣れな教職員、学生も多いため、丁寧に対応することが求められます。

大学によっては留学生や外国人研究者が増えている大学もあり、そのような場合は英語での対応が求めらることもあります。このため、大学によっては英語でコミュニケーションのとれる人材を重宝する場合もあります。

システムに関する問い合わせ・トラブル対応

大学での業務を進めていると、システムに関する利用方法がわからない場合があったり、様々なトラブルが起きたりします。そのようなときは、情報システム系の部署に問い合わせがくるので、質問に応じて対応していく必要があります。

システムをうまく扱えていない人は、なぜか怒っているケースもあったりするとのことで、そのような人への対応はなかなか大変だったりもします。

また、トラブルが起こった際にもある程度は現場の職員で対応できるように、職員向けの研修などを行う場合もあります。

学生への情報機器(ノートパソコン等)の貸し出し

学生に対しては、ノートパソコンやタブレットなどの情報機器の貸し出しも行っています。そんなに難しいことはないのですが、ルールどおりに管理をしていく必要があります。

このような業務はどの大学でもアルバイトなどの正職員以外のスタッフに任せることが多いので、大学職員としてはそのようなスタッフの全体管理などを行うケースが多いです。

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情報リテラシー教育の企画・運営

新入生に対しては情報リテラシーの教育を行ったりします。大学では高等学校と異なりメールでの連絡を行ったり、LMS(ラーニング・マネジメント・システム)を使った授業を行ったりするので、これらの利用方法を教えるための教育プログラムを考えたりします。

また、大学生はSNSへの不適切な書き込みを行ったりと、情報リテラシーが低い場合があるのでそのような観点からの教育も行っていきます。

大学によってはパソコン室に情報スタッフのようなスタッフを配置して、いつでも学生の質問に答えられるようにしていたりするのですが、そのようなスタッフの管理を行う場合もあります。

メディア教育(E-Learning、授業のビデオ録画)の企画・運営

最近の大学では反転授業が求められるようになってきており、大学によってはすでに対応をし始めています。

反転授業とは、授業と宿題の役割を「反転」させ、授業時間外にメディア教材等により知識習得を済ませ、教室では知識確認や問題解決学習を行う授業形態のことを指します。

つまり事前に授業動画を撮影し、それを学生が事前に勉強をして、自宅で勉強したことを前提に大学ではディスカッションなどを中心としたアクティブ・ラーニングを行ったりするものです。

このような授業形態がとれるように、システム部門の職員はシステム環境を整えるなどの対応を行う必要があります。

情報セキュリティに関する研修の企画・運営

大学に関するニュースを見ていると、個人情報の漏洩や大学のシステムが不正にハッキングされるなどのニュースをよく見ます。このようなこともあり、各大学では情報セキュリティに関する研修を行っていたりします。

通常の講義形式の研修からダミーの不正メールを送信し、騙されてクリックを行わないか確認するという研修もあったりします。

なかなか情報セキュリティの重要性を教職員全員に伝えることは難しいのですが、事故防止のための取組を進めていくのも情報システム部門の職員の仕事になっています。

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システム面からの業務の効率化

大学では全体の仕事が増えていることもあり、業務の効率化が大きな課題になっています。業務の効率化には様々なやり方がありますが、個人がひとりひとりで取り組むよりも、システム面での改善が図れると大きな効果が発揮できます。

このため、大学全体の業務フローをシステムを活用して行うなど、大学によってはかなり力を入れてシステムからの業務効率化を進めています。

実際には過去の経緯や、システム化することで学生サービスの低下(システム化することで細かいオーダーに対応できない等)が懸念されるなど、システムを変えるということは大変なのですが、これからはシステム面からの業務効率化はもっと求められると思っています。

情報システムの主な仕事まとめ

ここ十数年で大学でのIT化はかなり進みましたが、それに伴いシステムに関する費用もかなり大きくなっています。この費用をいかに押さえていくかというのも1つの課題となっています。

また、近年はメディア教育の推進が叫ばれています。これは、学生に対して勉強のしやすい環境を提供することの一環ですが、非常に大事なことである反面、非常にお金がかかります。

便利な機能はたくさんありますが、何が自分の大学で必要となり何が必要でないかを判断していく必要があります。

情報システムに関する仕事は単にITの知識があればよいと思われがちですが、コミュニケーション力がとても重要になります。特に新しい取組(メディア教育等)を行っていく場合は、色々な人を説得する力が必要になるので、情報システム関係の仕事を希望する人はITの知識だけでなく、コミュニケーション力をアピールするとよいかと思います。

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