大学職員の採用試験に合格するためには、大学職員の仕事理解や業界研究を行う必要があります。そこで、現役大学職員である管理人が大学職員の「教務の仕事」について解説します。私自身も教務系の部署で働いたことがあるので、そのときの経験も踏まえながら紹介します。

はじめに

大学職員を目指す方の中には、「学生の成長支援に携わりたい」「教育の質を高める取組に貢献したい」「社会で活躍できる人材の育成に係る業務に携わりたい」というような人が多くいます。そのような人にとっては、やってみたい仕事の候補として「教務の仕事」が挙がってくると思います。

また、大学職員を目指す方の多くが大卒の方なので、実際に自分が大学生だった頃に教務担当の人にお世話になった人が多いので、仕事内容もどちらかというとイメージしやすいかもしれません。

実は教務の仕事と言ってもかなり幅広いので、イメージできているものとできていないものがあると思いますが、学生と直接的に接する部署でもあるので、とてもやりがいのある部署であることは間違いないと思います。

ちなみに私も教務系の仕事はすごく好きで、学生対応からカリキュラム変更に伴う資料の作成など、様々な業務に携わることができました。

ここで紹介する仕事内容は教務の仕事のすべてではないですし、大学によっても異なると思いますが、仕事理解・業界研究の参考にしていただければと思います。

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教務の主な仕事内容の紹介

教務の仕事には、皆さんがイメージできている履修相談のような学生の相談に乗ったり、申請に基づいた手続きを進めるような仕事があったり、シラバスや時間割の作成といった先生と協力しながら資料を作成するような仕事があったり、FD活動の企画・運営などの教育の質を高める取組に携わるような業務があります。

「教務の仕事」と言っても、かなり幅広いものがあるので、どんな仕事があるのか、自分自身ではどんな仕事がやりたいのか、どんなことに貢献できるのかなどについて考えられるとよいと思います。

ここからは教務の主な仕事を紹介します。

履修相談

主に4月や10月等の学期の始まりの時期に学生が履修登録をすることになりますが、学生がどのような授業をとったらよいのか迷うこともあるので、学生からの履修に関する相談にのったりします。

大学によっては、授業内容そのものの相談や、長期的な履修の相談については、先生が対応する場合もありますが、いずれにしても手続き的な面については職員に相談することになります。

なかなかすべての授業の細かい部分を覚えることは難しいので、シラバスや時間割などの各種資料を見ながら、
・一般的にどのくらいの科目を履修登録することが多いのか
・学生が取得したい資格を取るためにはどの授業を履修すればよいのか
・2年次や3年時のコース選択の際に特定のコースにいくためにはどのような授業を履修すると有利なのか
・留学を考えている場合は多めに履修しておいたほうがよいのか
・最終学年の学生については卒業単位を満たせるような登録になっているのか
などについて、学生の声を聞きながら対応していく必要があります。

履修に関することで間違った内容を伝えてしまうと、卒業ができなかったり、卒業時に取得したかった資格がとれなかったりするので、責任感をもって仕事を行う必要があります。

最近はどの大学でもカリキュラム改革が進められており、学年によって卒業要件(卒業に必要な単位数)が変わったりすることもあります。このため、入学年度によっても卒業に求められる要件が変わってくるので、各学年に合った対応が求められます。

学生によっては留学やインターンシップなどを考えている学生もいるので、その年次や学期だけを見るのではなく、学生の4年間を見据えたアドバイスができるとよいですね。

その他に、最近はAIなどを活用して学生対応を行うような大学も増えてきています。よくある質問への対応については機械化したり、FAQを作ったりなどして、学生が窓口にこなくても疑問を解決できるような環境整備も求められるようになってきています。
(参考)【大学職員業界理解】大学における各分野の特色ある取組(教育改革編)

 

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履修登録の手続き

履修相談とほぼ同じ時期に履修登録の手続きを行う必要があります。最近はシステム上で学生が登録することも多いので、昔のように履修登録用紙を出して職員が入力するというようなことはほとんどなくなりました。

ただ、履修をするうえで抽選や選考があるような一部の特殊な科目や、大学院の科目などについては、窓口で直接対応するようなこともあります。

また、履修登録が終わった後は科目ごとに履修者数がわかるのですが、あまりにも履修者が少ないような科目については、開講を中止するなどの対応も必要になったりもします。

また、逆に当初想定していた履修者よりもかなり増えてしまうようなことがあった場合は、当初より大きい教室に変更するなどの対応が必要になります。

特に、教室変更については何となく簡単に思えますが、他の授業との関係で利用したい規模の教室が空いていないことが多くあります。

そうすると、場合によっては時間割自体を変更する必要がありますが、学生が受けやすい時間帯や先生方が実施したい時間帯(先生方は教室が比較的空きやすい1限や6限の授業は嫌がります)を考慮すると、簡単には変更することはできず、先生が望まない時間帯に無理にお願いするようなこともあります。

そのときのすぐにこちらの事情を理解して協力してくれる先生であればよいのですが、簡単に協力してくれない先生もいるので、そのようなときは意外と調整に時間がかかってしまいます。

この時期はかなりバタバタしていて色々な仕事を並行して進めている中で、次週の授業はすぐきてしまうので、教室の変更1つでも迅速かつ戦略的な調整が求められたりします。

シラバス(授業計画書)の作成

各年度の始まる前には、先生に授業ごとの内容(講義計画、授業によって身につく能力、成績の評価方法等)などを申告してもらったうえでシラバス(授業計画書)を作ります。

シラバスについても最近はWeb上で見られるだけにしている大学もあるので、大学によっては冊子のシラバス(授業計画書)は作っていない大学もありますが、そうでない大学は紙ベースのシラバス(授業計画書)も作成しています。

シラバス(授業計画書)は学生が授業を選択するために非常に重要なツールとなるので、大学職員としてはしっかりと必要事項が記載されているかを確認します。

実際の現場では先生方に対してシラバス(授業計画書)の締切を伝えて提出を待ちますが、提出締切までに提出しない先生もそれなりにいます。

また、提出をしてくれても必要な内容をしっかりと記載してくれていない先生もいます。

特に最近はディプロマ・ポリシーやカリキュラム・ポリシーとの関係や、身につけられる能力、授業外の学習に関する内容を記載する必要があるなど、以前よりもきめ細かくシラバスを作成することが求められるようになってきています。

このため、不備があった際は職員から再提出や修正などの催促を行うのですが、先生によってはあまりよい反応をしてくれない先生もいます。

先生によっては、「職員が教育に口を出すな」と言ってくるような先生もいますが、そうなったとしても学生のためにうまいこと説明をして決められたことをしっかりと書いてもらう必要があります。

先生に非があることであっても、場合によっては先生を怒らせてしまうこともあるので、常に丁寧な態度を心がけたり、日頃から信頼関係を構築しておくことも大事になります。

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「大学職員になった際にやりたいこと(入職後にやりたいこと)」
「これまでの職務経験から大学に貢献できること」
「自己PR・強み(長所)・セールスポイント・弱み(短所)」
「仕事をするうえで(働くうえで)大切にしていること(心がけていること)」
「大学時代に力を入れたこと・最も打ち込んだこと」
「転職理由・退職理由・大学職員という職業のイメージ・職員の役割・職員のあるべき姿などに関する項目」
「仕事に求めるもの・将来の職業観・採用後に希望する職種とその理由などに関する項目」
「大学が進めるべき取組み、力を入れていくべきこと、どんな大学にしたいか・学生にどんな学生生活を送ってほしいかなどに関する項目」
「学生生活で学問以外で力を入れたこと・正課外で力を入れたこと・学業で印象に残っていることなどに関する項目」
「現職における最大の成果・現職で身に付けたこと・困難だったこと・失敗したことなどに関する項目」
「趣味・客観的に見た性格・苦手なことなどに関する項目」

・小論文のテーマ別作成例
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・テーマ別グループディスカッション対策
→テーマ別に知っておくべきデータや特色ある取組みなどを紹介しています。
→「本学が生き残っていくためにはどのような取組を進めるべきか」「大学はどのような社会貢献の取組を進めるべきか」「本学のグローバル化を進めるためにはどのような取組が必要か」「受験生を集めるためにはどのような広報が効果的か」「大学において寄附金を増やすためにはどのような取組が必要か」「9月入学を導入することについてどのように考えるか(賛成か反対か)」
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時間割の作成

シラバス(授業計画書)と併せて各年度の時間割(各科目が実施する曜日・時限がわかるもの)の作成をします。

時間割についても先生方が各学問の体系性(授業を履修する順序)を踏まえたりしたうえで考えていただきますが、職員の立場からは必修科目が同じ時間帯に重なっていないか、同じ分野の科目が同じ時間帯になっていないかなどを確認したりします。

また、先生方は1限などの朝早い時間帯や6限などの夜に近い時間帯は授業を設定するのを避ける傾向にあります。そうすると2~4限に授業が集中するのですが、そのなると教室が足りなくなるケースがあります。

そうなった場合は、時間割を変更してくれそうな先生(主に若手の先生)に、別の時間帯に変更してもらうようお願いをしたりする調整も必要になります。

先生によっては「なんで自分が変更をしなければならないのか。〇〇先生のほうを変更すればよいじゃないか」などと怒る先生もいるので、どんな先生にお願いをするか、また、お願いの仕方もしっかりと考える必要があります。

ただ、先生との信頼関係ができていると意外とすんなり調整ができたりもしますので、調整に苦労する人と簡単に調整できてしまう人に分かれたりもします。

その他に、選択授業であっても、必修科目と同じ時間帯になってしまったら履修者が一気に減るということもあり得るので、色々な観点から確認を行い、必要に応じて先生方に情報提供するようなこともあります。

各種ガイダンス・イベントの実施・運営

各種ガイダンスについては大学によっても異なるかもしれませんが、履修ガイダンスや資格取得ガイダンス、入学式や卒業式など各種ガイダンス・イベントの実施・運営なども行います。

また、オープンキャンパスなどでは、教務担当のブースもあり、履修に関する疑問に答えるといったこともありました。

ガイダンス・イベントは、事前の準備から学生への案内、当日の運営などを複数名のスタッフで協力して対応します。ガイダンスやイベントによって統括の役割になったり、スタッフの役割になったりもしますが、協働力が求められることになります。

特に、新人職員がメイン担当になるガイダンス・イベントなどは新人職員が先輩職員に指示を出したりしなければならないこともあるので、最初の頃はやりにくいところもあるかもしれません。

ただ、このようなガイダンス・イベントは大学の多くの部署で実施しているので、このような業務が得意な人は色々な部署でも活躍できると思います。

定期試験への対応

各学期の学期末には定期試験を実施します。具体的には各科目の試験日程を調整し、持ち込み資料の有無などを確認したうえで学生にお知らせをします。その後大学によって異なりますが問題を印刷したり、回答用紙の枚数をチェックしたりします。

最近は経費削減の観点から印刷やチェックなどの単純作業はアルバイトや人材派遣の人が実施しているケースもありますが、そのような場合は大学職員としては全体の統括を行うことになります。

また先生によっては試験の代わりにレポートを課す場合があります。その場合は学生はレポートボックスやLMS(ラーニング・マネジメント・システム)にレポートを提出するケースが多いのですが、レポートボックスの場合は職員が取りまとめを行い先生に受け渡しをします。

いずれの場合も提出に送れる学生がいて色々な理由を述べてくるのですが、原則のルールを伝えつつ必要に応じて担当教員に相談をしたりします。

遅れての提出を許さない先生も多くいてそれを学生に伝えるのですが、学生によってはすぐに受け入れてくれないケースも多くあります。

そんなときに少しでも横柄な態度をとってしまうとツイッターなどで拡散されてしまうリスクもあるので、それなりに神経が擦り減る仕事になったりもします。

遅れてしまう学生の中には、もともと体が弱く、たまたまその時期に体調を崩してしまってしまったなどいうようなやむを得ないようなときもあるのですが、そのようなときに職員としてできることがないのは心苦しいときもあります。

その他に定期試験中に学生の不正行為(カンニング等)が起きたときは、学生や試験監督の先生から事情聴取をして、必要に応じて処分の手続きまで行うこともあります。

また、成績発表の際には成績評価基準どおりに成績がつけられているか、成績の割合(全員が5になっていないか等)についても細かいチェックも行います。

退学や休学の手続き

大学の多くの学生は4年間で大学を卒業することになりますが、学生によっては途中で退学したり休学を取得したりする場合があります。

多くの場合は、事前に学生が相談に来るので、学生の話を聞きながら本当に退学すべきなのか、休学をする場合は復学後の履修計画などについてアドバイスしたりします。

特に退学の場合は、何となくの勢いで退学したいと考える学生もいるので、場合によっては一度は休学を勧めるということもあります。

私自身も退学の相談を受けたことが何度かありますが、学生によってバックボーンがかなり異なり、場合によっては学内のメンタル系の専門部門に橋渡しを行う必要があるケースもあります。

この場合、学生に安易に「相談室に言ったほうがよいよ」と言ってしまうと、そのことにより学生を傷づけてしまうケースもあるので、周りの職員と相談しながら慎重に対応しなければならない場合もあります。

また、学修面で悩みのある学生については、先生に相談する場を設けたりするなど、学生に合わせた対応が求められることになります。

非常勤講師の手配・手続き

大学では、常勤の先生以外の先生(非常勤講師の先生)に授業を行ってもらうことも多くあります。どのような先生にお願いするかは、基本的には常勤の先生が決めることになりますが、決まった後の手続きは大学職員が行うことになります。

具体的には、依頼文を出したり、授業に来たときの施設の利用方法などについてご案内したりします。

非常勤講師の先生の多くは他大学でも常勤や非常勤で勤務しているケースがあり、そこでのルールがベースとなっている場合があります。

そのようなときに、自分の大学が昔ながらの運用をしていると、「こっちの大学ではこうなっているのになぜできない」などというようなニュアンスのことを言われたりもするので、うまいこと説明をしていく必要がある場合もあります。

また、ときどきその業界の大御所の先生にお願いすることもあって、その先生がかなり神経質な先生というような場合はそれなりにピリピリすることもあります。

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学生の成績を保護者への通知

最近は、学生の成績を保護者に通知する大学が増えてきています。保護者にとっては高いお金を払っているので、知りたいと思うのは当然だと思いますが、「そこまでやる必要はない」という意見もあったりします。

ただ、大学側はどちらかというと保護者へのサービスを充実させることにより「選ばれる大学」になれると考えていることから、保護者のニーズに合わせることが増えてきています。

また、私の大学では以前に保護者から「子供の成績を知りたい」と問い合わせがあっても、「個人情報なのでお伝えすることができない」という運用をしていたのですが、保護者としては「私がお金を払っているのになぜ教えてくれない」と怒ってしまい、なかなか対応が難しいケースがありました。

これが保護者に成績を伝えてよいようになったので、職員側としてはありがたかったりもしています。

大学によってはウェブ上で保護者が成績を確認できるシステムを整えていたりもするので、保護者へのサービスはどんどん進化してきています。

また、大学では学生からの苦情だけでなく保護者から苦情がくるケースがあります。保護者の場合は、割とこじれるケースも多いため、かなり慎重に対応しなければならないこともあります。

場合によっては夫婦で大学に乗り込んでくるということもあるので、保護者対応は気を付けて行う必要があります。

他大学との単位互換手続き

大学によっては他の大学で履修した科目(単位)を自分の大学の卒業単位に振り替えることのできる制度を整えています(単位互換制度)。

文部科学省としても、他の大学と連携して多様な学びを促し、社会に必要とされる人材を育成するよう求めてきているので最近のトレンドでもあります。

具体的には学生が単位の互換の申請をしてくるので、自分の大学の単位として認めることがふさわしいかについて判断をしていくための処理を行うことになります。

大学によっては特定の大学と単位互換協定を締結し、その大学との連携を促すような取り組みをしているので、協定を締結する際の調整なども必要になってきます。

他の大学ですばらしい授業があり、それを自分の大学の学生が受講できるといことは非常に魅力的なことなので、大学としては積極的に進めたい取組の1つだと思います。

教職免許等の資格取得の手続き

各大学では学生が取得できる資格についてどんな授業を受ける必要があるかなどの相談をする部門を設置しています。特に教職免許をなどはかなり細かいルールがあるので、学生も不安になることが多く職員に相談してくるケースが多いです。

大学職員としては、法令などをしっかりと理解して学生に対して適切なアドバイスをする必要があります。

また、ときどきではありますが学生の単位取得後に必要な要件を満たしておらず、資格付与ができなくなったり追加で補講を行う必要が出てしまうケースがあります。

そのようなことにならないように、職員としてもそもそもの大学が提供している科目や、取得を促している単位数でしっかりと必要な要件が整っているかを確認できるようにしておく必要があります。

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FD(ファカルティ・ディペロップメント)の企画・運営

FD(ファカルティ・ディペロップメント)とは、簡単に言うと、教育をよりよくしていくための取組で、多くの大学で実施しています。

具体的な取組としてはアクティブラーニングの手法を紹介する講演会を開いたり、教員同士が授業を相互で観察することにより授業改善を行ったり、教育改革の有識者や実践者を招聘して講演会を行ったりします。場合によっては海外の先生をお招きすることもあります。

実際には、FD担当の先生と相談して他大学の実施状況を踏まえながら、イベントの企画・運営を行うことになります。

FD(ファカルティ・ディペロップメント)は教育の質を高めるための重要な位置づけの1つとなっているので、今後も各大学で様々な取組が進められることになると思います。

そのようなときに職員側が他大学の好事例などを学内に情報提供できるように、職員個人としても他大学の取組の情報収集を行っていく必要があります。

教授会の準備・運営

大学によって教授会の準備・運営も行います。教授会では、教育や学生支援に関する取組みの議論をしたりするので、学部長や関係の先生とうまく信頼関係が築けている場合は、教育や学生支援に関する取組みに対して職員側の意向を入れてもらったり、職員側の提案をそのまま会議で出していただけることもあります。

会議を円滑に進めることも需要になりますが、上記のように大学運営に職員側の想いを反映させられるのはとてもやりがいのある仕事になると思います。

教務の仕事まとめ

以上が教務の仕事のイメージとなります。実際に仕事を進めていくうえでは、先生方と連携をしながら進めていくことが多くなるため、いかに先生方と信頼関係が築けるかが重要になります。

というのは、先生方から信頼を得ていれば、先生方は多少無理のあるお願いも対応してくれますが、信頼関係がないと、明らかにやるべきことであってもなかなかやってくれないことがあります。

信頼関係はすぐに築けるものではなく、日々の積み重ねが大切になるので、その点を理解して仕事に取り組む必要があります。

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私が教務の仕事を経験して感じたこと

率直に教務の仕事はやりがいもあり、楽しかったです。私が特にやりがいを感じたのは留学生対応でした。

留学生対応は国際系の専門の部署もあるのですが、教務でもそれなりにやりとりがあります。慣れない生活の中で懸命に頑張る姿を見るとすごくサポートしてあげたいという思いも強くなり、それを実践するとすごく感謝してくれます。

そして、留学生自身がだんだんと大学生活に慣れてきて、学生生活が充実している姿を見るととても嬉しくなります。卒業時には泣いて御礼を言ってくれるような学生もいて、ほんとに大学職員って素晴らしい仕事だなと感じたこともありました。

また、教務の仕事は先生方との距離も近く、先生のこともよく理解ができました。すごく人格が優れている先生もいれば、研究実績は素晴らしいのにだらしない先生がいたり、研究にはもうあまり力は入れていないけど教育にはこだわりがある先生など、色々な先生がいることを知りました。

先生方も事務面に強い方と弱い方がいて、弱い方にはできるだけ丁寧に対応するようにしていました。そうすることで信頼関係も構築でき、他の部署に異動した際も、その部署の仕事を快く引き受けてくれたりもしています。

先生方と仲良くなれれば、先生方と食事に行けたりもして、さらに先生方の理解を深めることにもつながりました。

教務の経験は自分自身の財産にもなっているので、また教務の仕事に携わりたいと思っています。

合わせて読みたい記事

その他大学職員の「仕事理解」ができる記事

その他にも大学職員の「仕事理解」ができる記事がありますので、参考にご覧ください。

大学職員の仕事①「学生支援の仕事」の紹介
大学職員の仕事③「就職支援・キャリア支援の仕事」の紹介
大学職員の仕事④「産学連携・研究支援の仕事」の紹介
大学職員の仕事⑤「留学支援の仕事」の紹介
大学職員の仕事⑥「広報・入試の仕事」の紹介
大学職員の仕事⑦「人事・総務の仕事」の紹介
大学職員の仕事⑧「企画・財務・会計の仕事」の紹介
大学職員の仕事⑨「情報システムの仕事」の紹介

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管理人プロフィール
・大学職員歴10年以上で採用試験の面接官を担当
・これまでに大学職員を目指す約100人の方の応募書類等の添削や面接対策に対応
・キャリアコンサルタント(国家資格)保有
・ツイッター(@daigaku_123)でも採用試験対策に関する情報を発信しています
・Amazonで採用試験対策に関する電子書籍を販売しています
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★「大学職員の仕事理解・職業理解」に関する記事★
★「大学職員採用試験に応募する前の準備」に関する記事★